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グラフィックデザインの雨音

グラフィックデザイナー志望者&初心者に語りかけるブログ

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アーティストとグラフィックデザイナーの違いとは?②

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引き続き、アートとデザインについて書こうと思います。

昨日の記事では、アートは制作者が自分の好き勝手やっていいけど、デザインは依頼者がいてギャラがあるから狙いどおりやらなくちゃいけないと書きました。

まるで、アート作品の制作が自由奔放かのように聞こえるかもしれませんが、アートはアートで様々な高いハードルがあることは言うまでもありません。また、依頼者がいてギャラのあるアート作品制作も普通にあります。ですから、実は単に依頼者がいるかどうかやギャラの有る無しだけでは、この違いは理解できません。

アートは自分のしたい表現(やその手法)ができていることが、まず第一に大事で、作品を見た人がどんな反応をするかは、二次的な影響と割り切っている側面があります。誤解をおそれず言えば、まずは制作者の自己満足が大事で、アーティスト自身が作品に自信がなかったり満足していないまま作品として発表するとしたら、エセアーティストと呼ばれるでしょう。

さらにアートは独自性や斬新さ、オリジナリティが重視され、その人にしかできない表現方法として評価されますから、作品そのものの出来栄えもさることながら、誰が作ったのかという「制作者の名前」がかなり重要です。アーティストに作品を依頼する人は、そのアーティストらしい表現の作品を望みますし、「誰の作品か」ということが大事なんですね。

それに対してグラフィックデザインを含む商業デザインは、クライアントから特定の狙いを達成するために依頼される制作物で、たいていの場合、クライアントから消費者へのコミュニケーションを「お手伝い」という側面があります。


以前、仕事で、グラフィックデザイナーの奥村昭夫さんのお手伝いをする機会に恵まれました。ロート製薬や江崎グリコなど馴染みのあるロゴをはじめ、大きな仕事をされてきた著名デザイナーです。

ある打合せの席で奥村さんは、「自分の作ったデザインを作品と呼ばれるとどうも違和感を感じる。」とおっしゃられました。そして、その打合せに同席されていた、芸術写真家の増浦行仁さんに、「増浦さんは自分の写真を作品って言ってる?」と尋ねたのです。増浦さんは、「そうですね、作品と呼んでいます」と答えられました。それを聞いて奥村さんは「そっかぁ、どうしてボクは作品って言わないのかな?」と一瞬考えられたのです。

デザオは普段から学生にそんな話をよくするので、僭越ながら「クライアントと作ってるからじゃあないですか?」と言うと、奥村さんは少し考えて、「うん、きっとそうだね。相手がいて話を聞きながら導き出していくような感じでやってるから、自分の作品って言われるとちょっとね」と恥ずかしそうに微笑まれたのです。増浦さんは逆に、クライアントがなく、増浦さんが撮りたいものを撮り、世に発表されていますから、自らの写真を作品と呼んでも自然なわけです。

このエピソードからもわかるように、アート作品と違って、デザインはクライアントとのキャッチボールで確認しながら制作を進めていくのが普通なんです。

でも、若いデザイナーに、「グラフィックデザイナーはアーティストみたいな仕事で、自分なりの表現をすればいいんだ!」と誤解させるような、幸福な時代があったこともまた事実だと思います。あららら、この話、また持ち越してしまいました・・・(・_・;

続く・・・。

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