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グラフィックデザインの雨音

グラフィックデザイナー志望者&初心者に語りかけるブログ

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グラフィックデザイナーにとっては、リング、らせん、呪怨よりも、ずっとずっと恐ろしいんです・・・それは、誤植!

gosyoku.jpg

そーなんです。グラフィックデザイナーにとってはそれほど怖いもの。それが誤植(ごしょく)です。

誤植とは「印刷物での表記の誤り」のことです。活版印刷での組版のミスのことですが、その後の写真植字時代でも、誤った写植という風に、言葉として自然に継承されたのでしょう。DTP時代に入った現在でも、文字間違いのことを誤植と呼びます。

グラフィックデザイナーになりたい学生さんがまったくというほど意識していないですが、広告制作の中でとても重要な工程であり、実際に時間も多く取られるのが「校正」という作業です。校正については、また別途書くつもりですが、ここでは単純に、文字間違いの確認をすることと思ってください。

その校正でも見つけられず、表記の誤りが、印刷までいってしまった!納品されてしまった!掲載されてしまった!という事故が、「あっちゃー!!」「ひ、ひーっ」「マ、マジか!大変だー!誤植があるぞー」という状態です。


誤植は、本当に静かに不意をついて、あなたのそばに忍び寄ってきます。デザオも誤植で、青ざめたり、謝ったり、落ち込んだりしたことが、何度もあります。

ある某有名印刷会社の凸版印刷(←言うんかい!)に勤める友人が言うのには、このごろ多い誤植の原因は、やはりIllustratorの「コピペ」だそうです。

デザイナーは、レイアウト作業を効率よくするために、コピー&ペーストで、ある部分の文字をコピーして、違う位置にペースト(貼り付け)して、文字を打ち替えるということを頻繁にやります。そのペーストしたあとに、文字を打ち替えるのをうっかりしないまま忘れてしまうというパターンです。

恐怖の事例① 初級編

確かに教え子がコピペが原因で失敗したと報告に来たことがあります。

学生さんの勉強がある程度進むと、自分で友人の名刺や年賀状を作ってあげたりしたくなるものです。そして、かなり高い確率で誤植を出してしまいます。

大学の先輩の名刺を頼まれてデザインし印刷したあとで、本当は違うはずの、電話番号とFAX番号がまったく同じになっていたことに気づいたのです。

制作過程で何度かデザインの修正や先輩との打合せをしたときには、違う番号になっていたのに、最後の最後に来た段階で、ちょっとしたレイアウト修正のために、コピペをして、両方同じ番号のまま、印刷に入稿してしまったのです。

その学生さんは、その誤植を出したことが恥ずかしくて先輩に言えず、結局自費で印刷をやりなおして何事もなかったように正しく刷り直した名刺を先輩に渡したそうです

恐怖の事例② 中級編

フリーのデザイナーをしている友人が以前に勤めていたデザイン会社で、実際に見た誤植の例です。

あるデザイナーが通販チラシに記載している電話番号で誤植をやってしまいました。通販業社ではなく、一般のご家庭の電話番号のまま印刷、納品、配布されてしまいました。

それは、その一般のご家庭から苦情の電話が入り初めて発覚したそうです。そのご家庭も大変だったでしょう。毎日毎日、「五穀米を1kgください」とか電話がはいるわけですもんね!(笑)いやいや、笑っちゃダメですね、笑えるけど。

デザイン会社の社長や担当デザイナーは、そのご家庭に菓子折りを持って謝罪に訪問しましたし、全然電話がかかってこなかった通販会社ももちろんカンカンで、そちらへも謝罪と保証を協議しに行きました。訂正したチラシの印刷代をデザイン会社が持ち、デザイン代はほぼなくなる割引を強いられたそうです。

恐怖の事例③ 上級編

私の元同僚も、ある大型小売店のチラシで、ネックレスの価格を、実際の価格より、一桁安い方に間違える(!)という深刻な誤植を出してしまったことがあります。

小売店側は協議して、結局間違ったままの一桁安い値段でネックレスを販売しました。虚偽の広告として問題になることを恐れたからです。結局、お店にとっては300万円以上の損害となり大問題になりました。

元同僚にとっては不幸中の幸いと呼ぶべきか、小売店側の担当者の確認もしっかりできていなかったことがわかり、全面的に責任を負わされることはなかったものの、その元同僚は上司とともに、謝罪行脚であちこち回りました。

オフィスに戻ってきた時には当然へとへとで、何も話したくないというほどガックリ落ち込んでいました。デザオも慰める言葉が見つかりませんでしたし、明日は我が身かと、身が震える思いでした。

まとめ

医療関係の仕事では、医療事故を出してはいけないという緊張感があるでしょうし、飲食業や食品メーカーでは、傷んだ食べ物を出せないとか、偽装表示にならないようにとか、緊張感があるでしょう。社会の仕事ではそれぞれにミスが重大な損害につながる恐怖と緊張感があります。

それに対して、グラフィックデザインは何か間違っても、デザインが多少ダサくても、そう簡単に重大な事態になることはないと思われがちです。しかし、上の例を見てもわかるように、企業のプロモーションの一部を担うということは、やはり大きなリスクが伴うことです。

誤植を出さないように、校正には重々神経を尖らせましょうね!間違っても、「ま、たぶん大丈夫でしょう!」で印刷にまわさないように!

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| デザインの基本(実践編) | 18:18 | comments:6 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

誤植・・・怖いですよね。。僕も以前の職場では販促担当でカタログを作っていたので死ぬほど校正作業しました。
だいたい最終校正だけ本気で確認して、大量の修正を出して製作者に迷惑かけてしまうんですよね~orz

| ken | 2014/07/06 20:59 | URL |

コメントありがとうございます!

最終校正だけ本気で確認してというのも、
修正する人からすると悲しいカミングアウトですね(笑)

誤植があると仕事を出す側も出される側もみんな悲しい事態に陥りますから、
できるだけ最初の校正から本気で見てあげてくださいね!

| デザオ | 2014/07/08 22:35 | URL |

誤植では無いものの最近はコスト削減で部分的にシールで修正するものも目立ちますね。非常に見映えが悪くなるので嫌いです。消費税率改定の時などによく目にする光景です。

| なかお | 2014/12/14 09:25 | URL | ≫ EDIT

なかおさん、コメントありがとうございます!

ええ、そのシール修正でもっとも気になるのが、駅の案内板でのシール修正ですね。
先般、大阪梅田にオープンしたグランフロント大阪の案内板制作をした会社に勤めている元教え子の男性が、
グランフロント大阪ではテナントの修正時に部分シールを使わなくていいような工夫がされていると話していました。

| デザオ | 2014/12/15 18:08 | URL |

最近ではコピー技術の向上で商業施設の案内板が紙のコピーになっているものも見られますね。テナント変更があってもコピーなら経費は相当削減されますが、どうも安っぽい印象は拭えません。

| なかお | 2014/12/16 03:41 | URL | ≫ EDIT

なかおさん、コメントありがとうございます!

紙でも高級感があれば問題ないんですが、なかなか上手く行かないものですねー!
テナント修正が出たんだからシールなどの対応になっても「仕方ない」としてしまう人の多さも問題でしょうね(笑)

| デザオ | 2014/12/17 02:18 | URL |















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