fc2ブログ

グラフィックデザインの雨音

グラフィックデザイナー志望者&初心者に語りかけるブログ

NEXT | PAGE-SELECT | PREV

≫ EDIT

やはりここでも「デザイン=見た目」のみの扱いか・・・。

Image4.png

はーい!

2ヶ月ほど前、当ブログの【決定版】「デザインってどういう意味?」 デザイン概論④ という記事のなかで、こんな主旨のことを書きました。デザイナーを目指そうというあなたが、デザインの本来の意味を勉強してくれるのはえらい!でもそれを知ったうえで、世間一般ではあくまで「デザイン=表現のみ=図案・意匠のみ」という認識で話されることのほうが多いですよーと。

つまり、平たく言えば、世間ではまだまだ「デザイン=見た目」のみのことであって、機能は別だという認識です。本来のデザインは、見た目も機能も不可分のものとして捉えるべきなのですが、世間様ではそうなっていないのが実情です。

たまたま見かけたこの建築トラブルについての動画でも、「デザインは見た目だけ」という主旨で語られていて、ちょっと悲しかったのですが・・・。どういう内容なのか少し見てみましょう!


動画は約22分と長いので、建築に興味のある方にはこれ自体面白い動画だと思うのですが、そうでもない読者のかたはぜんぶ見ていただく必要はないですよー。


「有名建築家の手による 最新の欠陥住宅映像」

要点をまとめますと、施主が高校時代からの知り合いでもあった早稲田大学のカリスマ教授、入江正之氏に依頼した自宅がとんでもない欠陥住宅になってしまったという内容です。見てみると、これはひどい!と思える建築の内容なのですが、そのなかで、デザオが気になったナレーションの語りが以下の点です。

ナレーション(14:46):同級生の建築士を信頼したのにも関わらず、できたのは問題だらけの家。その理由は、建築士がデザインにこだわり、居住性を軽視したかのような設計をしたこと。そして、施工会社の、プロとは思えぬスキルの低さにあった・・・。

そうです、やっぱりここでも、デザインと居住性が別ものとして語られています。当ブログの読者なら重々ご承知のように、人が住むための家の設計を依頼されて、居住性を軽視したら何を重視するんでしょうか?それがデザイン(=見た目?)だとしたら、まるでデザインは悪者みたいです。濡れ衣を着せられたようなものですよ、えーん(TOT)!

以前ご紹介した六本木ヒルズ森タワーの回転ドア事故のときと同様に、建築事故やトラブルのときによく「デザイン」という言葉は汚名を着せられるのです。
参考記事:六本木ヒルズ森タワーの回転ドア事故 安全対策よりデザインを優先した結果が事故を招いた。

見た目のカッコ良さしか考えなくて、居住性や機能性、危険性について考えていない、というわけです。

それじゃあ、デザイナーと名の付く職業をしている人は、みんなそんな表層的なところで仕事してるのか!?中身も考えずに作っているのか?そんなはずありません。だから、こういうときのナレーションは、「デザインにこだわって、居住性を軽視した」と言わずに、「見た目のカッコ良さにこだわって、居住性を軽視した」としてほしいんです。

ただ・・・。

ここからは完全にデザオの個人的見解ですが、その「建築士がデザインにこだわり・・・」と語られる設計が、「これかよっ!?」って叫びたくなるくらい時代遅れに感じるのですが。。。コンクリート打ちっぱなしで、はめ殺しの大窓、鉄骨の螺旋階段に華奢な手すり・・・。トレンディドラマの時代ですか?って気もしますが・・・。読者の皆さんの感想はいかがでしょう・・・?(笑)

それと同様に勉強になるポイントがもう1点。施主さんが下のように語っています。

Image6.png

Image7.png

Image8.png

建築士と言ってもいろいろあって、意匠・デザインだけをする建築士と、設備設計をする建築士がいるとは知らなかった、そして早稲田の入江教授は「自分はデザインだけする建築士ですよ」とは言わなかった、と主張しているわけです。これは興味深い指摘です。

これはいろんな角度からつっこむことができます。建築ほどの大仕事をたったひとりでできるのか?そもそもいろんな専門家が分担しているものではないのか?という見方もできますし、だからこそ建築家はそれらをまとめるリーダーとしての責任があるじゃないかという見方もあります。これについては、デザオが昔から感じていた、建築業界と広告業界はなんて似てるんだ!という思いがよぎります。でも、長くなるので、それはまた別記事にしましょう!

閑話休題。。。

デザインを見た目だけのことと語られることは悔しいことではありますが、当面は仕方ありません。これが今の一般常識です。新人デザイナーのかたは打合せの際、のちのトラブルにならないように、デザインという言葉を相手がどのように認識しているか、推し量って使いましょうね!

いつもクリックありがとうございます!

↓FC2ブログランキング、にほんブログ村、人気ランキングに参加しました。
それぞれ1クリックしてくださるとデザオとっても嬉しいですオー!よろしくお願いします!


にほんブログ村 デザインブログ グラフィックデザインへ
にほんブログ村

デザイン・アート ブログランキングへ

スポンサーサイト



| デザインの基本(考え方編) | 18:20 | comments:6 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

見てくれだけを追求して実用性を蔑ろにするデザイナーがいなくなればいい話。

| . | 2019/11/17 15:00 | URL | ≫ EDIT

広告やWEBのデザイナーにはあまり悪い印象はないですが、建築や変に芸術よりのデザイナーは良い印象ないですね。個人的な感想ですけど。
物理法則を考えなくても良いデザイナーは何やっても自由ですけど、建築はそうはいきませんからね。
一般的な人のデザイナーの言葉の範囲が広すぎるのかもしれません。
ソフトウェアのように、義務教育になることが手っ取り早く市民権と理解を得る方法です。
日本は今は組込系とWEB系の違いすらまともに認知されていませんが、10年もすればソフトウェアの知識や分類は子供達の常識になるでしょうね。

| みるく | 2019/12/24 22:55 | URL |

Re: タイトルなし

コメントありがとうございます!
まったくおっしゃるとおりですよねー。建築物で実用性を蔑ろにするとかねぇ。。。

| デザオ | 2019/12/24 23:15 | URL |

Re: タイトルなし

みるくさん、コメントありがとうございます!
デザインの分野でもプロダクトやインテリアなど、物理法則を考えないといけない分野はいろいろありますが、みるくさんのおっしゃるとおり、建築分野は直接的に人命に関係したり、ギャラも大きいですものね!
デザインの言葉の範囲は、コンセプトと同様に広いですね!
だから「デザイナーです」って言われても、どういう分野の人か、ちょっとわかりませんものね。
なるほど、デザインをソフトウェアのように義務教育に、ですか!
素晴らしいアイデアですが、そうなると教える方の混乱が想像に難くないですね(笑)

| デザオ | 2019/12/24 23:22 | URL |

性能や機能を実現するためにデザインはある。
しかし建築業界の一部デザイナーは性能や機能など全く関心のないようだ。自動車ならその性能が関心の中心だが、家は見た目と機能は話題になっても性能(断熱や耐候)は全く話題にならない。必要な性能は改めて確認しなくても満たされていると暗黙の了解があるからだ。だから設計図にも書いてない。設計図を見てもわからない。設計家も保証しない。だからこういう欠陥住宅を作られても責任を追求できないのだ。

| タカ | 2020/08/05 00:53 | URL |

Re: コメントありがとうございます!

タカさん、コメントありがとうございます!
必要な性能が満たされているという暗黙の了解ですか!それが保証されないと怖いですね・・・。住宅など建築物では、消費者がそこを確認しようとすると、あまりに確認項目が増えすぎて手に余ることが想像できますね。そこの信頼性が揺らぐと、消費者側が取れる手段は、追加のお金を払ってプロのチェッカーや診断士のような人をやとって、あらゆることをチェックするというギスギスした方法しかなくなりますねぇ。。。

| デザオ | 2020/08/05 11:58 | URL |















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://gd-amaoto.com/tb.php/390-7c5362c9

TRACKBACK

NEXT | PAGE-SELECT | PREV