グラフィックデザインの雨音

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「自粛する広告表現アイデア」と、その周辺の話を理解しておこう!

20150311.jpg 

今日は3/11ですね。早いもので、あの2011年の3/11から4年目になるんですね。

思えばあの日のあの時間、デザオは大阪は中之島の中央公会堂のメインホールにいました。専門学校の卒業式だったのです。照明が長く揺れてることにみんなが気づいて、「地震だね」とささやくくらいしか、関西では揺れませんでした。

しかし式の終了後、会場を出てなごやかに記念写真などを撮っているとき、東京に住む妹から「そっちは大丈夫?」というメールが入り、東京では大きかったのかなと知りました。さらに2、3時間してからだったでしょうか?誰かれともなく、携帯でYouTubeのあの津波の動画を見せ合い、東北のほうが大変だ!と気づいたのです。

グラ雨のテーマで何を言い出すの?とお思いかもしれませんね。話をグラフィックデザインに戻しましょう!

この震災の翌日に開通した九州新幹線の楽しいTVCMをはじめ、様々なキャンペーンが放映中止、掲載停止になったわけです。九州新幹線もなんとも数奇な開通を迎えたものです。いわゆる「自粛ムード」というやつです。

あの有名な「こだまでしょうか?」のACの広告が散々流れ始めたのもこの「自粛ムード」の中でした。楽しいCMの放映を不謹慎と判断した多くの企業がいっせいに手を引いて、流せるコンテンツが極端になくなってしまったのでしょう。

デザオにとっては、多くの関西の人と同じく、この東北の震災はすぐに神戸を思い出させるものでした。「またか・・・」と思ったのです。今調べてびっくりしましたけど、あの震災は1995年の1/17なんですね。もう20年も前とは!信じられなーい。。。

ストップがかかった表現アイデア

大阪市北部に住んでいたデザオの一人暮らしのマンションは大きく揺れ、家中のものが崩れ落ちましたが、大した被害も怪我もなく、仕事も普通に再開しました。

ところがです。そのとき制作途中で、プレゼンも無事終わり、モデルの撮影もした夏のセールの新聞広告がありました。再校まで進んでいて校了間近だったのですが、表現アイデアにえらいさんがストップをかけたのです!


それはちょうど、冒頭のイラストに3案あるうちの真ん中の案のような、矢印がいっぱい出てくるプライスダウンを強調した表現アイデアでした。これが地震を連想させるというのです。

「そんなぁ、言いがかりだよ~!矢印と地震の揺れは何の関係もないじゃないかぁ!」そう思いましたが結局ダメ!ということになりました。しかし新聞の掲載日は待ってくれません。即日変更が可能な背景グラフィックの大幅変更、矢印と連動していたキャッチコピーの変更を強いられました。

「自粛」は良いことか、やり過ぎか。

そのプランを推し進めてきてモデル撮影も済ませたあとだっただけに担当者としては悔しかったのですが、かと言ってじゃあデザオの責任で決めろ!と言われればやはり、そのときのえらいさんと同じく変更する決断をしていたと思います。

「自粛というと聞こえはいいですが、要は、おもんばかって無用なクレームを回避したいだけじゃないか」という人もいるでしょう。「クレームを回避する」というとやけに「ことなかれ主義」のような腰が引けた印象を与えるかもしれません。

でも本当は「クレームを回避する」だけではなく、地震の被害者の人がその広告を見てイヤな気分になったらどう言い訳するんだ?という、日本人同士の気遣い文化を踏まえた、純粋な想像力の問題です。だから程度問題とは言え、この場合は、やっぱり変更せざるを得なかったと思うのです。

まったく同じことは、東北の震災後にもあちこちで起こりました。

たとえば、当時の教え子に、現役のデザイナーながら通学している男性がいました。彼はパチンコ関係の広告やポスターを手がけていたデザイン事務所に勤めていたのですが、あるキャンペーンで、迫力のある海の「波」を使って表現、一部は印刷していたポスターがあったのです。すべて使えずに廃棄処分にされ、クライアントからはお互い身を削ろうと、デザイン代を負けさせられ、仕事は減り、その事務所はつぶれかけたというのです。

いろんな種類の「自粛」を知ろう

デザインの勉強をする学生さんには、厳しすぎる注文かもしれませんが、やはり社会人となったら、その社会の空気がどうなっているかというようなことの「機微」に対する感受性が必要だと思います。

ただ、「自粛」の切り口がいろいろ違うので、注意が必要です。

たとえば、最近のまったく違う「自粛」の例は、韓国の言う戦犯旗、「旭日旗」の問題があります。これはまた時をあらためて書こうと思いますが、まったく理不尽な韓国の主張により、日本の「旭日旗」が「ナチスのハーケンクロイツみたいなものだ」と糾弾されているのです。しかも韓国では、本来の「旭日旗」の図案を越えて、かたちが「似ている」だけで因縁をつける決まり事になっているらしいのです。

日本にとっては言いがかり以外の何ものでもないし、そういうことが嫌韓の原因のひとつだろうと思うのですが、露出の大きな広告で、クライアントに迷惑をかけまいとするデザイナー心理では、変な揉め事につながらないようにと、本当に「旭日旗」やそれっぽいデザインを避けてしまうことでしょう。

違った形の「自粛」です。

平成元年、昭和天皇が亡くなったあとも、「自粛ムード」が広がりました。それもまた違う「自粛」です。

最近でも、デンマークの日刊紙に掲載されたイスラム教を風刺する漫画に、偶像崇拝を禁じるイスラム教の国や人々が反発、言論の自由か宗教的配慮かという問題が報道されていましたが、宗教というテーマも強い警戒が必要で、「自粛」の対象になるでしょうね。

2008年、「ジョジョの奇妙な冒険」のオリジナルアニメーション作品の登場人物が手に持つ書物にコーランの一節が登場し、その内容が適切ではなかったとして、批判されたり謝罪したりという問題がありました。これも、宗教的警戒を怠った例でしょう。

そう考えると、いろんな角度からの表現に関する「自粛」があることがわかります。

まとめ

ジャーナリストや作家なら、自分の信念にしたがって表現の自由を行使すれば良いのです。

しかし、クライアントからの依頼で、クライアントから消費者へのコミュニケーションやメッセージを届けるお手伝いをしているデザイナーにとって、その「自粛ムード」に鈍感(もしくは鈍感なふりをして)無用な揉め事を生むことは、自分の評判を落とし、仕事を減らすことに直結しかねないことだと知っておきましょう。

さぁ、読者の皆さんもぜひ考えてみてください。東北の震災から4年たった今、夏のセールの広告だからと「ビッグウェーブ」の広告は許されるでしょうか???

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