大阪市営地下鉄のトイレ リニューアルは大歓迎だけど・・・このデザインは何か違和感が・・・。
グラフィックデザインと密接に関係ある(と少なくともデザオは思っている)ことで、言いたくてうずうずしていることがあるんですよ。
それは、大阪市営地下鉄のトイレのことです。地下鉄のトイレが2013年からあちこちの駅で順次リニューアルされて、快適できれいになってきています。
私も長~~~~いあいだ、地下鉄のトイレには不満を持っていました。それがようやく橋下市長のおかげで改善されたわけです。2012年2月に京都市の京福電気鉄道の藤本昌信副社長が、初の民間出身の交通局長に起用されて、それから1、2年たって、やっとこさですよ(笑)
トイレも駅もボロボロで汚く、民間出身の人じゃないと、それを普通にきれいに改装することが出来なかったなんて、こんな馬鹿げた話はないのですが、実際これまで変わらなかったのです。
というわけで、デザオは、トイレの美化は、とても嬉しかったのです。
しか~し!最初に改装されたトイレを見かけたとき、ちょっとギョッとしたというか、「え?何これ?」と強烈な違和感を感じたのです。
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あなたも画像を見てそう思いませんか?デザオの違和感を、3つに整理してつっこみたいと思います。
1. でかいねん!
まず、あまりに大きいピクトグラムの人物ですよ。トイレのマークがパーテーションいっぱいに、ここまで主張するなんて、おかしくないですか?そりゃあ、お年寄りや海外の観光客には目立ってわかりやすいかもしれませんけど、美観ってものがありますよねー?
改札入ったら、ホームへ降りるエスカレーターと階段の両側に、自分の身長より大きいトイレのマークが、金剛力士像のようにあるんですよ。変でしょ??駅の風景の中でトイレの存在感が大きすぎるんです。改札に入る遠く手前から見えるところもあり、改札通ったらまず強制的にトイレに向かうシステムになってるのかと思うくらいです。まだ、背景が黒だからまだシックにも見えるものの、もし背景が青と赤なら、卒倒するところですよ。
2. ようおこしって、どーゆーことやねん!
次に目につくのが、「ようおこし」ですよ。ちょっとネットで調べてみると「ようおこしやす」の省略形で、大阪に限らず関西の一部では言わないことはないらしいですが、すなおに言って、ごく普通の関西人が普段使う言葉じゃあないですよ。大阪出身、大阪育ちの私でさえ、最初、なんで大阪なのに京都の言葉を使うのかな?とか勘違いしたくらいです。
何より、トイレに「ようおこし」って、どういう意味なんですか?観光地の玄関口にある駅やバス停、旅館や土産物店ならわかりますよ。駅のトイレですよ、トイレ。「ようこそ、我がトイレにおこしくださいました!ウェルカム!」って、なんで!?その近所の他のトイレと客を奪い合ってるの?って言いたくなりますよ。
3. 頭部の位置、なんか変やん!
さらに、その大きなピクトグラムの頭部を表す丸が、肩に埋まっているようになっていることです。これは、おそらく「ようおこし」という挨拶とセットで、頭を下げていることを表現したんだと思いますが、まずわかりにくいです。一見、肩をすぼめているようにも見えます。
また、「ようおこし」と同じく、トイレに来てくれたことに頭を下げるという「意味」が変でしょ?意味がわからないから、まさかお辞儀していると思いにくいのも、わかりにくくしている原因かと思います。
というわけで、これらの3つのことが大きな違和感として押し寄せるわけなんです。このお仕事をされたデザイナーの方がいるでしょうし、その方にはこんなこと言って本当に恐縮ですが、言わざるを得ないです。
ちなみにデザイナーの勉強のために、このデザインと、コンセプトとの関連を確認してみましょう!大阪市交通局の報道発表資料から、デザインコンセプトについて書かれたところを見てみます。
(序文)
地下鉄のホスピタリティの向上をテーマとし、従来の駅トイレのマイナスイメージを払拭する、明るく・清潔感あふれる快適空間を実現しました。これからも、親しまれ選ばれる地下鉄をめざして、お客さまのニーズに応え実感いただけるサービスアップに取り組みます。
(1)デザインコンセプト
地下鉄のホスピタリティの向上をテーマとし、従来の駅トイレのマイナスイメージを払拭する、明るく・清潔感あふれる快適空間を実現しました。これからも、親しまれ選ばれる地下鉄をめざして、お客さまのニーズに応え実感いただけるサービスアップに取り組みます。
(1)デザインコンセプト
地下鉄のホスピタリティ向上をめざし、当局からお客さまへの「おもてなしの心」をトイレを通じてお届けするとともに、「地下鉄に対する親近感をもっていただきたい」という思いを込めた『ホスピタリティコミュニケーション』をデザインコンセプトとしました。
(2) 主なリニューアルポイント
【外装・内装】
・トイレ入口には温もりを感じていただけるよう木の質感を持つ素材を使用するとともに、グラフィックでおもてなしの心を表現
・内装はくつろぎの空間を演出するため、全体として色使いをシンプルにし、木質感素材を基調としたインテリアデザインを採用
・内装はくつろぎの空間を演出するため、全体として色使いをシンプルにし、木質感素材を基調としたインテリアデザインを採用
おわかりのように、(序文)と(2)は何も問題ありません。問題は(1)デザインコンセプトです。特に、「当局からお客さまへの「おもてなしの心」をトイレを通じてお届けするとともに」という部分です。
「おもてなしの心」をトイレを通じてお届け、です。それが、表現方法を検討する段階に至って、「ようおこし」という案になってしまったのでしょう。もしかしたら、異様なピクトグラムのでかさも、トイレの場所をわかりやすくというホスピタリティから出た結果かもしれませんね。
しかし本来、「おもてなしの心」は、駅全体でバランスよく表現してほしいことです。あらゆる世代の人が快適に利用できる機能的に優れた設計、街の主要施設として快適で美しいデザイン性、統一感があり明解なサインなど、あらゆる角度でバランス良く表現(コミュニケーション)すべきもので、全体の中でのトイレが果たすべき役割のちょうど良い大きさ、バランスがあるはずです。
そして、おそらく今回は、そのホスピタリティに対する「熱い思い」(コンセプト)があるがゆえに、過剰に、新しいトイレでそれを表現しよう!となり過ぎたのでしょう。
でもバランスを欠いた過剰な表現(演出)は、もっと大きな全体像(いわゆるC.IやV.I、ブランドイメージ)に、悪影響を及ぼします。たとえば、エレガントな高級路線をブランドイメージとしているフランス風ホテルの中にある1箇所のトイレが、ホスピタリティを理由に和風になっていいでしょうか?
もう一度言いますけど、本当に、リニューアルは嬉しいんです、嬉しいんですよ!きれいにしてくれて、ありがとう!なんですよ。
でも、この入口のデザイン、何とかならないのー?と、見るたびに思うんです。「ああ、これだから大阪は肝心なところでいけてないんだよねー」と自虐的に思ってしまうのです。あー残念。
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| 雑記 | 18:18 | comments:3 | trackbacks:0 | TOP↑
これまた信じられないような表示ですね。トイレマークの大型化は進んでいますが、このマークはJIS規格ではないうえ、色分けが不明瞭。マークにお辞儀されても、気持ち悪いですよね。
| なかお | 2014/12/11 08:37 | URL | ≫ EDIT