グラフィックデザインの雨音

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基本の詰まった新聞広告の例 ヤマト運輸の元旦の広告

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ちょっとさかのぼって、元旦の新聞15段広告です。新聞15段広告とは1ページ全面サイズのことです。広告を出しているのはおなじみヤマト運輸です。

ちょっと考えてみて欲しいのですが、ヤマト運輸がベタに自社のサービスの宣伝をするなら、宅急便料金が安いだの、ある配達範囲では翌日に配達するだの、新しい○○宅急便が出ただの、具体的な商品(サービス)をお知らせするのが、普通の広告です。

しかし、元旦からそんな無粋な広告は企業としてよろしくありません。世の中の皆さんに、年賀状も兼ねた企業イメージをあげるような挨拶代わりの広告を出して、今年もよろしくという気持ち良いスタートを切りたいものです。

そのため、元旦の新聞には15段広告を中心とした大きなスペースをさいた企業イメージ広告がたくさん掲載されます。このヤマト運輸の広告もそんな広告のひとつなのです。

とても真面目で基本に忠実なこの広告を題材にして分析!新聞広告の基本を考えましょう!


表面的なイメージ広告と実質的なイメージ広告

企業のブランドイメージを高める方法はいろいろありますが、写真や色、タイポグラフィ、デザインのアート性など、広告表現のみでそれを行うのは、ある意味、表面的なブランドイメージだと言えますよね。

一番良いのは、実際に企業が提供している商品・サービス・実践している行動が、消費者から評価されることです。実際にやっていることなら、その事自体にニュース性があるわけですから、実質的なブランドイメージと言えます。

ニュース性の性質

実質的なブランドイメージを高めるニュース性にもいろいろあります。メーカーであれば販売する商品そのものに価値があればそれもニュース性です。サービス業であれば、それぞれの業態に応じて、消費者のニーズを満足させるサービスの価値紹介そのものがニュース性です。

しかし、近年語られるCSR(企業の社会的責任)に代表されるように、企業はまるでひとりの人格のように、道徳的な責任を持って企業活動を営んでいるか、それはどんなことかも、企業にとってはひとつの価値で、ニュース性になり得ます。だから企業は環境保護をしたり、募金活動を手伝ったり、災害時には無償で被災者に貢献しようとしたりします。

ヤマト運輸の広告が語っている価値

このヤマト運輸の広告も、そんな日頃の顧客との関係について、セールスドライバーがいかに頑張っているかということに価値付けをして語られている広告です。ボディコピーがわかりやすく3つのパートに分けられています。

1. お客様から名前で呼んでもらえて一人前。宅急便の現場で昔から言われてきた言葉です。
2. 山間部にある高知県大豊町では、買い物の支援と高齢者の見守りを行っています。
3. 全国に6万人のセールスドライバー、地域は違っても、お客様への想いは同じです。

しかし、ニュース1、ニュース2、ニュース3というような企画書的な構成ではなく、

「セールスドライバーがいかに自分たちの町や人たちに身近な頼れる存在なるかを考えています」

というアピールを1.と2.のふたつの例をあげて、3はその話のまとめ、という構成です。

メインビジュアルの作り込み

メインビジュアルは、ボディコピー2のパートで名前も登場する窪内さんというセールスドライバーさんが、笑顔で荷物を届けているシーンを、玄関の中からのアングルで撮影している写真です。一見、とても自然に見えますが、かなり計算された写真です。

セールスドライバーさんは、胸元のフォトIDカードがちゃんと見えるようになっていて、ボディコピーに書かれている窪内さんとはこの人かとすぐにわかりますし、しゃがんで荷物を渡していることで低姿勢なイメージになります。

また、玄関からのアングルは、背景を住居側ではなく山々にすることで山間部を強調していますし、玄関の中から撮影することで、構図上、中心部より周辺部の方が暗くなりますから、キャッチコピーが白抜き文字でレイアウトしやすくなります。

キャッチコピー「はじめて 名前で呼んでもらえた日。」は、写真のシーンともちろん一致しますし、「セールスドライバーの心がけ」を象徴するエピソードとして最適です。エピソード自体は小さな話ですが、この広告で伝えたいメッセージの導入としてわかりやすいですね。そこから、山間部の高齢者見守りの事例を上げて、全国のセールスドライバーも想いは同じですとまとめていく流れです。

このように、小さな事例を挙げ、それをきっかけにして企業全体の話に広げていく展開方法は、デザオもコピーの授業の時に「小さな傘から大きな傘へ」という喩え話で説明する、広告の基本的な手法です。

まとめ

グラフィックデザインを勉強する学生さん、就職1~3年くらいの新人デザイナーさんが、このように、企業活動の中の「ニュース性のある価値を見つける」→「広告になる物語に展開する」ができるようになると、もうバッチリです!

新聞自体はメディアとして下り坂な印象がぬぐえませんが、もともと新聞は読む媒体だけに、このようなコピーワークを背骨にした広告の基本を学ぶのにちょうどいい媒体なんですよー。

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| 雑記 | 14:14 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

ヤマト運輸の自社広告の対極にあると言えるかも知れませんが、以前、コメントをさせていただいた『快速はありません、どの街も好きだから。』というキャッチコピー。
企業(鉄道会社)から依頼されたわけでもなく、純粋に『路面電車』という乗り物からイメージされた言葉であり、なぜか凄く好感が持てます。
まさに、その企業の『ファン』であるから、このような名キャッチコピーが生まれるのでしょうね。興味深い事例です。

| なかお | 2015/02/21 17:13 | URL | ≫ EDIT

なかおさん、コメントありがとうございます!

顧客のほうが応募するために考えたコピー案なんですよねー。
乗客視点の、ほんとにいいコピーですね!

コピー発想のなかで言えば、一見デメリットに見えそうなことのメリットを唄う、ということになるのでしょうか。
逆転の発想で、不便なところの魅力を語ると、そう言えばそれもいいなと思えてくるから不思議です!

| デザオ | 2015/02/23 22:04 | URL |















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