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グラフィックデザインの雨音

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JRグループの北海道旅行ポスターが「やっつけ感」に溢れている!

JR北海道旅行ポスター-1

2014年8月にJR大阪駅で撮影した、JRグループのポスターです。北海道旅行のポスターですが、JR北海道というわけではないんですねー?このポスター、景色はとてもきれいなんですけど、どーも「やっつけ感」に溢れているので写メをおさえたのです。そう思いませんか?

「やっつけ感」に溢れているというのは、適当にデザインしているように見えるという意味です。低コストなどの事情で、結果的に適当に見えるだけかもしれませんが・・・。

しばらく眺めてみると読者の皆さんも気づくと思いますが、その「やっつけ感」を生み出す原因は、ひとつではなく、どうやら複数のようです。それを例によって勝手に分析しましょう!


JR北海道旅行ポスター-2 

このポスター、全部で何種類あるのかわかりませんが、少なくともこの掲出場所だけで5種類あります。パッと見たところ、北海道の5つの風光明媚な場所の写真をフルトリミングで使用した観光ポスターだなとわかります。

キャッチコピーは明朝系で、少し小さくしたフレーズと、大きい2文字の熟語で出来ています。よく見ると、その小さいフレーズの最後は受け点「、」で終わっていて、2文字の熟語は受け丸「。」で終わっているので、両方を合わせてひとつの文章だったんだと気付きます。

写真の左側から順に書き出しますと、下記のようになっています。

長閑な日に出会える、叙景。(撮影場所:函館市/五稜郭公園)
薫風が誘い出会える、彩景。(撮影場所:中富良野町/ファーム富田)
澄んだ空に出会える、遠景。(撮影場所:斜里町/知床五湖)
宵のときに出会える、光景。(撮影場所:豊頃町/大津海岸・十勝川河口)
異国情緒に出会える、情景。(撮影場所:函館市/金森赤レンガ倉庫と函館山)


そして、ポスターの下に写真にかぶせるように色帯を透過効果で入れて、そこに小さくですが北海道のカタチと、文字が「北海道 HOKKAIDO」とあります。これによって、やっと「ああ、北海道の観光ポスターだな」とはっきりします。

同じ色帯の左側に小さい文字で、撮影者の名前や撮影時間、撮影場所、電車やバスでの行き方を超簡単に記載してあり、撮影場所についての問い合わせ先として、北海道観光振興機構の電話番号とURLがあります。

ポスターの構成要素としてはそれだけです。広告のセオリーどおりに考えて、シンプルなことは良いことのはずなんですが、なんでしょうこの何か足りないような感じ・・・。ちょっと気になる点を整理してみましょう。

1. えーと、北海道だよね?

まず最初に気になったのは、一瞬ですが、北海道のポスターとわかりにくい点です。中富良野の花畑や、十勝川河口の流氷らしき写真で、たぶん北海道だよね?とは思うものの、そのほかの3箇所のポスターは一瞬、どこかわかりません。ましてキャッチコピーも叙情的なことを言っているだけなので、場所を特定する情報はありません。一番下の帯を見て、はいはいやはり北海道だ・・・と合点がいくのですが、観光ポスターにしては心もとないと言えます。

2. 誰が出してるの?

左上にJRグループとロゴマークがあるのですが、ことさらにJR北海道での「青春◯◯切符!」の宣伝とか、観光列車◯◯特急の宣伝とか、あるわけでもなく。具体的に何を伝えたいのか良くわかりません。撮影場所の問い合わせは北海道観光振興機構までとなっていますが、それは撮影場所のことだけなのか?と思うと、このポスターは誰が主体的に出しているのか、本当に曖昧です。

写真の撮影者の名前(3名)や撮影時期など、普通広告で記載しないような情報が載っていることから、何かの写真コンテストか何かの作品を使用している企画広告です、などと言ってくれたほうが、その素人っぽさの理由にもよほど納得がいくのですが、そういう情報もありません。

3. 春夏秋冬じゃないの?

HOKKAIDOの右上に、Spring、Summer、Autumn、Winter、Autumn、とあります。何で春夏秋冬で4種類じゃないの?と思います。これも掲出場所による大人の事情でしょうか・・・?(笑)

4. 5種類のキャッチコピーの意味がよくわからない。

再度、キャッチコピーの内容に注目しますとこのように(↓)なっているわけですが、「のどか」を「長閑」と漢字で書いたり、「叙景」などというこんな使い方するのか?と言いたくなるような難しい言葉や、造語なの?って言いたくなるような「彩景」ってう言葉を使ったり、何かと言い回しがオジサン臭いです(^_^;)

長閑な日に出会える、叙景。(撮影場所:函館市/五稜郭公園)
薫風が誘い出会える、彩景。(撮影場所:中富良野町/ファーム富田)
澄んだ空に出会える、遠景。(撮影場所:斜里町/知床五湖)
宵のときに出会える、光景。(撮影場所:豊頃町/大津海岸・十勝川河口)
異国情緒に出会える、情景。(撮影場所:函館市/金森赤レンガ倉庫と函館山)


小さい方のフレーズも何とか写真に合わせようとしている努力はわかりますが、2文字の熟語の方のマッチングに至っては無理矢理感が否めません。言葉として画像に合うかどうかという問題も、広告のレトリック上は大事ですが、もっと大事な点は、このポスターを見る人には何を言っているのかややこしすぎてわからないだろうということです。製作者の自己満足ですね。

5. それでどうしてほしいの?

広告のコンセプト(狙い)のひとつとして、その広告を見た人からどんな反応を引き出したいのか、をはっきりさせるということがとても大事と当ブログでは何度か書いてきました。「詳しくはWEBで!」、「今なら得だからこれを買って!」など、何かあるものです。しかし、このポスターは、その情報がないのです。

そりゃあね、有名な「そうだ、京都 行こう。」みたいに、細かいことを言わなくても、関東圏の人をターゲットに、京都へ新幹線で行こうということが伝わる骨太なキャンペーンならわかりますよ。でも、そういう骨太なメッセージもないのです。

具体的なツアーの宣伝でも、切符の宣伝でも、特急車両の広告でもありません。ターゲットも曖昧です。若者向けか、カップル向けか、シニア層向けなのか、何もありません。

上記2の問題と関連しますが、きれいな写真を掲載するだけで観光ポスターが成立するなら、沖縄から北海道まで日本国中に美しい場所はあり、美しい観光地は際限なく紹介できるのです。そういう意味で、ポスターを見た人には何の目新しさもない絵ハガキのようなポスターなのです。そうなると、どういうアクションを起こして欲しいのか皆目わからないということになりますよねー。

まとめ

これらの1~5までの気になる点は、高尚なことでもなんでもなく、プロのデザイナーさんなら広告制作上、当たり前に解決しておくべきポイントです。それが何も解決されないまま、このように掲出しているということは、よほど低予算で制作されたポスターで、もしかしたらデザイナーが主体的に関わっていない可能性さえあります。

えぇ?そんなことある?→あり得ると思いますよ~。素人発想のレイアウトを、印刷会社にお願いして、データだけをなんとか言うとおりに作ってもらった、というような・・・。JRのマークも関係公社のポスターだから仕方なく使わせているだけというような事情かもしれません。

その「やっつけ感」が、このやたら薄い紙厚にも表れているような気もします(笑)実は、このポスターを見たときに一番最初に気になったのは、ポスターのシワなのです(笑)屋外でもないし雨に濡れたわけでもないのに、なんでこんなシワが入ってしまうような薄い紙を使っているのだろう?安っぽいよなー(泣)と・・・。

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