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グラフィックデザインの雨音

グラフィックデザイナー志望者&初心者に語りかけるブログ

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迷惑レイアウト、これでいいんですか?・・・しかし長え~よ、文章がよ~。

迷惑駐輪1 

大阪梅田の地下街で見かけたポスターです。

「迷惑駐輪、これでいいんですか?」

とキャッチコピーがあります。要は「迷惑駐車はやめましょう!」のシンプルなメッセージで終わるはずが、なんでこんなに長いボディコピーになっちゃうんでしょう!?

こういう何でもないポスターの中にこそ、デザインを学ぶ学生さんには反面教師として勉強になることがいっぱいあるものです。今日はそれを分析!


情報を整理する!

まず基本中の基本として、何を一番に伝えたいか(=情報の整理、優先順位付け)をはっきりさせないといけませんよね?文字情報が整理されず、長く単調にレイアウトされていると、誰も読みたがらないめんどくさい広告になってしまいます。

めんどくさがりな読者のために、あえてデザオが頑張ってこの長い文章を読んでみると、だいたい以下のようなことが書いてありました。

近ごろ、自転車の盗難が増えてますよ。
  ↓
自転車盗難の多発エリアでは、凶悪犯罪も起きますよ。
  ↓
迷惑駐車は、地域崩壊のサインですよ。
  ↓
自転車利用者のモラルが問われてますよ。
  ↓
自転車の絡む交通事故も増えてますよ。
  ↓
消防、救助の邪魔になりますよ。
  ↓
自転車は大阪にとって大事な乗り物ですよ。
  ↓
でもあなたの置いた1台がきっかけになりますよ。
  ↓
通勤用自転車の迷惑駐輪はやめましょう!
  ↓
従業員の質の低下は、店や事業所の質の低下ですよ。
  ↓
店や事業所の質の低下は、まちの格の低下ですよ。
  ↓
まちの格を上げましょう。
  ↓
まずは通勤用自転車の迷惑駐輪をやめましょう。


長え~よ!(^_^;)

本当はポスターでの主要なメッセージは、15秒のTVCMだと思って文字情報を厳選→淘汰するくらい、ざっくり切り落とさないと、メッセージは伝わりません。しかし、興味をもった人にはゆっくり見てもらえるというのがポスターのメリットです。それを考慮して、ある程度文字情報を多めに入れたいという要望を受け入れるのが条件だと仮定しましょう。

それでも、これだけの長いボディコピー(本文)になるなら、見出しコピー+本文をワンセットとして、いくつかに段落分けをしないといけません。見出しコピーがあれば、全文読まなくても概略が理解できるからです。さらに理想を言えば、箇条書き程度にまで情報を要約して、すっきりさせることです。そのほうがより伝えたいメッセージの全体像が伝わるからです。

ところで、本文の後半の方で、じょじょに不思議な内容になってきます。従業員の質の低下がどうこうと、店や会社へ向けて説教をしたいようです。あなたの店や会社の従業員が自転車で通勤してるんじゃないのー!?だったら止めさせてよ~!ということですね(笑)

本文の最下部あとには、

「-つくろう もっといい街 キタい街」

とあります。「キタ」は大阪の繁華街「キタ(梅田エリア)」と「ミナミ(心斎橋・なんばエリア)」という呼び方のうちの「キタ」のことです。でもそれとかけて「キタい街」(=来たい街)と上手く言ったつもりかもしれませんが、パッと見た印象では「キタない街」(汚い街)みたいに見えますよ。。。

ポスター最下部に、誰が出しているポスターか書いてあります。

キタ歓楽街環境浄化推進協議会・大阪市建設局・大阪市北区役所・大阪府曽根崎警察署・大阪市北消防署

となっています。なるほど。推進協議会はわかりませんが、そのほかは全部、お役所ですねー。ええ、ええ、予想通りです。文面の堅苦しさ、レイアウトの問題、きっとそうだと思ってました。

背景の写真を分析する!

情報に続いて写真やレイアウトを分析してみましょう!

まず背景の写真ですけど・・・おやぁ、この場所は見覚えがありますよー。うん、間違いない。ここです。新御堂筋沿いで、JR大阪環状線が右手に見える中崎西ですね。ストリートビューでみると、居酒屋の看板が同じです。一応、看板の店名などは修正してごまかしてはいますが・・・。手前の店のマークは見えてますもんね・・・。

迷惑駐輪3
 

このように場所がすぐバレてしまうのは、あまりよろしくないことです。だって、本文の中でこんな風に言っているんですもの。

●●町で殺人事件2件

迷惑駐輪は、地域の人たちのまちへの無関心等、まちの本性を映し出しています。

これでは殺人事件のあったのが中崎西のように受け取られかねませんし、中崎西の人たちが責められているようです。そのあとに続く、店の従業員をなんとかせーや!の内容も、この写真に映っている複数の店のことを言っているかのようです。せめて「写真はイメージです」などと入れておいて欲しいですね。デザインの中で実際の写真を使うときに気を使う部分です。

迷惑駐輪1
 

レイアウトを分析する!

レイアウトは言語道断です。これだけの長い文章を入れないといけないのがわかっているのに、どうして背景全面がゴチャゴチャした写真のフルトリミング(1枚の写真をポスターの端まで全面にレイアウトすること)なのでしょう??当然のように、文字が読みにくいので、四角い枠を作って、その中を少し白っぽくして(or 写真を半調にして)文字を読みやすくしようと苦しんでいます。

その処理により多少はマシになったとは言え、それでも読みにくいことに変わりはありません。背景に白っぽく四角を入れたところで、そのさらに後ろの画像の自転車のゴチャゴチャ度合いが強いので、白い文字も黒い文字も読めなくなります。そこで中間色の中から赤色を選んだのでしょう。

しかしキャッチコピーまで白い四角の中に収めてしまうことを躊躇したのでしょうか。キャッチだけは白のフチくくり文字にした。すべてが後手後手の対策です。いいレイアウトになるはずがありません。

関連記事:レイアウトのコツ⑦ フチくくり文字を使うのを避けるんだー!

まとめ

このポスターは、学生さんの作品でよく見かけるレイアウト上の典型的な問題の、見事な反面教師です。

「背景に画像があるので文字が読めなくなる」→「読めるようにするために、背景に四角いスペースをとってその部分だけ画像を薄くしたり、文字をフチくくりにしたり、いろんな苦し紛れのデザイン処理をする」→「裏目に出て、読みにくいままダサくなる」

・・・です。このような問題は、サムネイルの段階でわかっていることです。サムネイルはアイデアの切り口が第一ですが、大まかなレイアウトもわかっているのですから、そのときに文字で困るであろうことが想像できないといけませんよね!

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