企業ロゴに込められた意味・・・伝わらなくていいコンセプトもある②
前回の記事に引き続き、「伝わらなくていいコンセプトもある」ということについて書きますよ~。前回の記事では、フリーメーソンの記号をとりあげて、わかる人にだけ伝わればいい意味や意図があることを書きました。
今回は、それは企業ロゴでも同じことが言えますよ、という話です。
そもそも、文字情報が豊富で多くの「説明」が可能な「広告」のデザインと違って、シンプルな「記号」や「マーク」のデザインの面白いところは、その抽象性ですよね!シンプルにしなければいけないので、大胆に枝葉の情報を削ぎ落として、要点だけを抽出して、あるカタチにして残しています。
その残ったカタチが何を伝えているのかは、見た人が察するしかありません。見た人が、何となく感じる、イメージするという抽象的なコミュニケーションをしているのです。
しかし一度その意味を知ってしまうとどうでしょう?抽象的だった理解は、「そういう意味や意図があったのかぁ」と具体的な理解へと変化します。
それはどういう意味かと言いますと・・・。
たとえば、冒頭の画像はラーメンでお馴染みの日清食品の企業ロゴです。
オレンジ色の半円は食品メーカーらしく、「口」をモチーフにすると同時に「器」もイメージさせる納得のフォルムです。「日本のロゴ(成美堂出版)」によると、実はそれだけではなく、「社会を”円”とするならば、その半分を担いたい」という、生活者の”ベターハーフ(良き伴侶)”たらんとする意思も込められているそうです。
しかし一般消費者がこの日清食品の企業ロゴマークを見たときに、口や器をイメージすることはあり得ても、「社会を”円”とするならば、その半分を担いたい」という生活者の”ベターハーフ(良き伴侶)”たらんとしているなぁ・・・とまでは察したり、感じ取ることはほぼ無理ですよね?
じゃあ、この後半の「生活者のベターハーフでありたい」というコンセプトを伝えきれなかった半円マークのデザインは失敗なのでしょうか?あるいは力不足なデザインなのでしょうか?そうではありません。
「この企業ロゴマークのデザインにこういう意味が込められている」ということを知っているのは、あるいは知るべきなのは、日清食品の従業員や取引先や株主などの、いわゆるステークホルダーなのです。
私たちの会社のマークには、実はこういう理念が込められているのだ、そのことを誇りにして私たちはこのマークを奉じているのだ!このマークが入った名刺で営業をし、商品を世に出し、企業活動しているのだ、そういう気持ちで仕事をしてほしいという「C.Iの内側への役割」を期待しているのです。
関連記事:STAP細胞はありまぁす、じゃなかった・・・、C.Iは外にも内にも効果がありまぁす。
コニカミノルタの企業ロゴ
もうひとつ例をあげましょう!
コニカミノルタの企業ロゴマークです。今度は実験的に説明を聞く前に、マークからコンセプトを察することができるか考えてみましょう。
青い丸は宝石や地球を連想させます。これを、目じゃないか?とは誰も思わないでしょうね。しかもこの青い丸がすこし扁平になって楕円のようになっていますが、意図は図りかねます。5本の横線は何でしょう?五大陸を表すとか?水平線かな?技術の地平を越えて行く!とか?中央付近が白くぼかしてあるところからライトのようにも見えますね。
デザオはすべての消費者の見方を代弁できませんが、おそらく、地球をモチーフにしてグローバルに活躍する、光が射す未来的なイメージの企業ということが、外側へ伝わるイメージ(=デザインコンセプト)だろうと推察します。
このマークについて、同じく「日本のロゴ(成美堂出版)」によりますと、以下の様な説明がなされています。
「地球をモチーフにしたマークは、無限の広がりと世界中のお客様への新しい価値の提供を表現している」
「楕円のフォルムは信頼感・安心感の提供と広範な技術力の調和を象徴」
「光をモチーフにした5本のラインが画像情報分野における技術力(光学・化学・電気・機械・ソフトウェア)を表している」
だそうです。地球をモチーフにしていることは当たりましたが、その意図は複雑すぎて外れました(^_^;) 楕円のフォルムにそんな意味があったなんて!5本のラインが光ということは当たりましたが、まさか画像情報分野の5つの技術力を表していたなんて!(笑)
繰り返しになりますが、しかし、それでも良いのです!外側へ伝わるイメージが、デザオの推測したコンセプトだけでも、内側(社内)へ伝えたいデザインの意図(企業理念をシンプルにしたもの)がこんなにあるということです。
まとめ
つまり、記号やマークなどのシンボリックな対象のデザインにおいては、「コンセプトが伝わるようにデザインしないといけない」という基本ルールが当てはまらないというか、重要視されていないのです。
重要視されるのは、企業ブランドとして、消費者へどのような印象で伝わるかという第一義的な機能です。しかしそれと同時に、そこにどのような理念が込められているかを、社内の人間が聞いたときに納得できるということが併せて必要なのです。
いわばローマ神話で2つの顔を持つ神ヤヌスのように、外へ向けたデザインコンセプトと、内へ向けたデザインコンセプトの、両方の顔があるのです。だから、内へ向けたデザインコンセプトを、外側の消費者が聞いたところで、「そんなのデザインを見ただけじゃあわからないよ」ということになっても構わないのです。
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| 雑記 | 18:18 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑
今では公式サイトで企業側がロゴのコンセプトを説明していますね。その企業に関心のある人がWikipediaに事細かに書いている例も(笑)昔に比べれば、ロゴに関心のある人には情報が広まりやすくなったのかなと思います。
| なかお | 2014/12/22 19:02 | URL | ≫ EDIT