グラフィックデザインの雨音

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【Q&A】私の上司はどうして怒鳴るばかりで具体的な指示をしてくれないんでしょう?

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いやー、今日は更新時間が遅くなっちゃいました~。

ある教え子S君は、専門学校では学生さんでも、実はれっきとした就職2年目のデザイナー、23歳の社会人です。彼の職場は名古屋の情報誌の制作をしている会社です。

ある日の彼の相談です。

「私の上司は怒鳴るばかりでデザインの指示をしてくれません。やりなおしてこい、何にも考えていない、やる気がない、仕事を舐めているなど、こちらがげんなりするような悪態ばかり言うんです。もう心が折れそうです。私から、どこがダメですか?もう少しどうしたいと思っておられるのか教えて下さいと質問しても、自分で考えろ、もう2年目だろう!とデザインについては何も具体的な指示をしてくれないんです。」

なるほど~、これはありがちな話ですが、当の本人からするとたまったもんじゃありませんねー。愚痴のひとつも言いたくなるでしょう。他にもいろいろと具体例を出して上司を嘆く彼は、自信も失いかけて、自分はデザイナーに向いてないんでしょうか?と落ちこんでいます。

さて・・・。人の会社のことですけど、こんなS君に、デザオが何を言ってあげられるでしょうか???でも、実はS君は知らないでしょうが、こういう話はよく聞く話なんです。


最初の就職先の上司は、厳しいくらいでちょうどいい。

授業を通して、私がS君に持っている印象は、真面目でデザインの勉強も熱心、授業を休むこともなく、素直です。彼の話によると、職場の同僚も上司のその横柄な態度には困り果てており、彼が上司のことを嘆くのもあながち一方的な見方ではないようです。

上司の方の弁護もしておくと、厳しいことがダメなことではありません。デザオも最初の就職先で、上司が怒鳴り散らすタイプのめちゃくちゃ怖い人でした。まぁ、手が出ないので、現代で言うブラックな職場というわけではなくて、単に世代的な意味でそれくらいの厳しさが珍しくなかったのです。

でも厳しさの裏には自分もそのように厳しくやってきた、だから今の自分がある、厳しくしないと優秀なデザイナーは育たないという、ある種の「愛」が根底にあります。デザオも振り返ると、厳しくしてもらって良かったと思えます。スキル的にもそうですし、精神的なタフさが養われる(笑)という意味でもです。

でも当時は極めて一般的なその厳しさが、現代ではパワハラであるとか、非常識であるとか、問題視されることもあるわけです。最初、S君からその話を聞いた時、デザオの元上司もそうであったように、一世代上の、団塊世代の典型的な厳しい上司なんじゃないかと思いました。

大手広告代理店から来た上司・・・。

でも、S君は違う意味の不信感も持っていたのです。その上司はその会社の生え抜き社員ではなく、大手代理店出身のディレクターさんで、とても口が達者で、その会社の社長の信頼を得て比較的最近入ってきた人物だそうです。

ま、失礼な言い方かもしれませんが、天下りっぽい入り方なんですね。就職した若いデザイナーの相談話にときどき登場する、やっかいな上司のタイプです。その話を聞くたびに、そういう大手代理店出身から他の企業にデザインや宣伝のプロと称してやってくるADさんって、結構いるもんなんだなぁと驚きます。

そしてそういうタイプの人に共通している問題点は、いい仕事に関わってきたせいか、いいデザインと悪いデザインを見分けることはできても、デザイン業務自体は外注していたので、どういうテクニックを使えばデザインが良くなるかとか改善するかというノウハウがわからないのです。いいように言えば、判断すべきことが上の方過ぎるとも言えますね。

どうやら、S君の上司も典型的なそのタイプのようです。上がってくるデザイン案に怒鳴り散らし、やり直せ、明日までにやれ、10案持ってこい、と来るわけです。きっと代理店時代も、アウトソーシングするデザイン会社にそんな仕事の指示の仕方をしていたんでしょうね。。。

でも、厳しく接するものの、どうすればそれが良くなるかというデザインテクニック上のアドバイスはあまりできないのです。もしかしたら、それは俺様レベルが細々という仕事じゃない!くらいに割り切っているかもしれません。

本来であれば、組織の中に、中堅デザイナーという存在が育ってきて、そういうディレクターの気持ちを汲んだデザインにして返すことが出来たり、新人のデザイナーにデザインノウハウやデザインテクニックを指導していくことが理想です。

しかし、以前記事でも書いたように、今企業ではデザイナーの中堅が多く育っていません。企業内の人材育成環境や待遇が悪化しているので、愛社精神や帰属意識が希薄で、すぐに転職したりフリー化していくので、企業には古株と新人しかいなかったりするのです。

そうなると、代理店からきた上司は、「若いデザイナーは何てデザインスキルがないんだ。根本から叩き直さないといいものが作れない。せっかく俺様が来て指導してやっているのに、いいものが出ないと俺の顔が立たないじゃないか」と苛つきます。

一方、新人デザイナーは、どうして具体的な指示をしてくれないんだ。やり直せやり直せばかりでは、何がどうダメなのかさっぱりわからない、結局自分の好き嫌いだけなんじゃないのか?代理店出身だからって、自分が出来ないくせに、何をえらそうに言ってやがるんだ。こうなるわけです。

出来ることと出来ないことを割りきって考える。→そして自分が出来ることに集中する。

デザオ視点では、これは突き詰めれば、社長の認識の問題です。

現場は1年目や2年目の新人しかいない制作部門です。まだ2年目のS君にはデザイナーの先輩がいません。みんな辞めたのです。そこに大手代理店出身の怒ってばかりのディレクター。結果は見えています。

社長は、せめてその信頼しているディレクターと協力して実務型のディレクターや中堅デザイナーを入れて新人の指導育成しながらデザイン力の向上充実をはかる、つまり新人をきちんと育てる仕組みをつくるべきなんです。いわゆるOJTですね!

でも世の中的には、「社長が判断すべき問題=平社員にはノータッチの変えられない問題」であることが多いですよね。

だから、S君に今できるアドバイスは、具体的なデザインスキルを高めることしかありません。つまり上司が怒鳴る厳しい人であろうと、阿呆でぼわーんとした人であろうと、そういう人間関係に期待したり一喜一憂したりすることなく、自分がデザイナーとして成長していくための方法を考えるべきです。

そうです、実はS君は、無意識の渇望とでも言うんでしょうか。もうその方法を考えて1歩踏み出してるのです。

そのためにデザインの専門学校に通いはじめました。休憩時間や放課後に、仕事のデザインをデザオに見せて、どう考えるべきか相談したり前向きに取り組んでいます。そして今、それらを通して、これまでつらくしんどいだけだったデザインの仕事が少し楽しく思えてきました!自分の成長を感じています、と言って頑張っています。

上司について嫌悪感を持ってしまうというS君へのデザオのアドバイスはこうです。

「つまりその上司は映画で言えば、プロデューサーのような人です。大局観はあると信頼してあげましょう。でも、演技の方法やカメラワークをどうしたらいいんですか?と、この人に現場の技術的な「やり方」を教えるように求めてもそれは筋違いです。単にやっている仕事のレイヤーが違うんだと考えるようにしたら良いのです。本当はS君の会社には監督や演出家がほしいところですが、今はいません。だから、独学で学ぶしかないのです。」

彼は納得してくれたようです。しばらくして、上司の問題も、客観的な目で見れるようになったと報告してくれました。彼は少しタフに成長したようです。

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