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グラフィックデザインの雨音

グラフィックデザイナー志望者&初心者に語りかけるブログ

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ピクトグラムのデザインで身につく、4つの基本的なデザインスキル。

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グラフィックデザインの学校で最初にするであろうことのうち、代表的な課題が、ピクトグラムのデザインです。

ピクトグラムとは、非常口のサインや、トイレの男女の人型のサインなどでお馴染みの、視覚記号・絵文字です。日本ではおもに1964年の東京オリンピックや、1970年の大阪万博のような、海外からたくさんのお客様を迎えるイベントで、会場や空港、駅などの主要な施設で、文字ではなく視覚的なサインによって必要な情報を伝達するために開発、導入され、その後大きく発展してきました。

今では当たり前に街にあふれるこのピクトグラムは、もっとも最初に取り組むグラフィックデザインの練習として最適です。なぜなら、複雑なグラフィックデザインにも応用できる、以下のような、基本のデザインテクニックが必要となるからです。


● ピクトグラムのデザインで身につく、4つの基本的なデザインスキル。

1 2色でデザインするスキル

ピクトグラムはたいてい地色と図の色の2色で表現します。色が決定されるまでは、地色が黒、図の色が白という黒白でデザインします。漫画が白い紙の上に、黒い線とスクリーントーン(点)によるグレーで表現されるように、グラフィックデザインには仕事によって表現上のいろんな条件がついてまわります。白黒2色(白い紙の上と考えれば黒一色)でデザインしなければならないピクトグラムは、表現上の与件を受け入れてデザインすることを学べます。

また、この2色でデザインできるスキルは、ロゴやマーク、タイポグラフィに通じるフォルムへのこだわりに発展します。

2 デフォルメする

日本では、描く対象の特徴を簡略化することをデフォルメと呼びますよね。ピクトグラムは、視覚記号として万人に理解できるように、可能な限りシンプルな構造にデフォルメ(簡略化)します。今で言うユニバーサルデザインになっていないといけないわけです。デフォルメをする過程で、デザイナーは、必要な線と不要な線を判断し、ビジュアルコミュニケーションに本当に必要な線や骨組みだけを残すように考えます。グラフィックデザイナーになるための必要なステップがこの「そぎ落とす」練習です。

このスキルに慣れることで、複雑で具象的な絵柄を用いなくても、シンプルな線、図形、色だけで、コミュニケーションがはかれることを学べます。

3 設置イメージを意識する

ピクトグラムは、街中や公共交通機関、ショッピングセンター、病院など、ある特定の場所に設置されることを前提にデザインされます。その場所の空間の広さ、天上の高さ、サインの大きさなどから逆算して、最適な線の太さやシンプルさ加減を判断しなければなりません。原寸で考える重要性を熟知しているデザイナーほど、紙の上でデザインを終えず、サインを実際の大きさにして、設置環境に近い距離をおいて眺めたりして、どのように見えるか確認します。

実際に通行人からどのように見えるかということを考えることは、すべての媒体に通じます。名刺のデザインをしたときに、原寸でチェックをしないと、文字が小さくなりすぎて読めなかったり印刷で文字がつぶれたりという弊害に気づけません。

4 統一感あるデザインにする

ピクトグラムは特定の場所を想定してデザインされるので、単独でデザインされることはむしろ珍しく、同じ施設で使用される複数のピクトグラムとしてデザインされることが多いのです。その場合、その複数のピクトグラムが並んでいておかしくないような統一感を持っていることが要求されます。これは単に色を同じにすれば済むものではなく、デフォルメの度合いや、地色と図色のバランス、人型があるならその人が同じ人に見えるようにするなどの注意が必要になります。

デフォルメされた複数のピクトグラムが、シンプルでありながらも統一感を持つようにデザインするスキルは、ひとつのブランドイメージをいろいろな表現条件でも守るデザインに通じます。ささいなデザイン上の構造の特徴が、見る人に同じ印象を与えることができるわけです。


いかがでしょうか?

ちなみに、非常口のマークは日本人デザイナーによってデザインされ、国際規格に採用されたグローバルデザインです。火災時に赤い炎の中でも見えやすい緑色を地色にして、暗い建物から外へ脱出する様子が見事なシンプルさでデザインされていると思いませんか?実際に良いピクトグラムをデザインするのはとてもむずかしいだけに、この非常口を見かけるたびに、「このピクトグラムは本当にお手本と言ってもいい美しいデザインだな~」といつも感心させられます。

もしあなたがピクトグラムデザインに挑戦するなら、病院や駅、ショッピングセンターなど、ある施設を仮定して、そこで使われそうなピクトグラムをいくつか考え、セットでデザインするといいですよ。単なる練習では気合いが入らないかもしれないので、そのセットでポートフォリオ(自分の作品集)の1ページを飾るつもりで取り組むといいと思います。

そのときは、下書きを十分検討することだけでなく、原寸サイズ、実際の色で遠くから眺めることをお忘れなく。「美しいなー」と自分でほれぼれするまでやるといいですよ!

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