グラフィックデザイン業界 夜型になってしまう4つの理由
お取引先のある部長さんからこんなことをたずねられました。
「デザオさん、夜遅いんでしょ?僕の友達もね、デザインの仕事してるんですけど、夜おそーくまで仕事してるみたいなんですよ。それで朝遅くに起きてくるって言ってましたよ。デザイン業界ってそうなんですよね?何でそうなるんでしょうねー?」
悔しいけど、確かにそーなんですよー。これまで何回朝型に切り替えようと努力しては失敗してきたか・・・。
たまに撮影のために珍しく早朝に起きて出かけたりすると、「ああ、朝の空気、なんて気持ちいいんだろう~!明日から早起きしよう!」と思うんですよ。そのときはね!でもやっぱり続かない。
私はフリーですから比較的自由な生活サイクルを送っていると思いますが、だからこそ余計に夜型になってしまいます。でも、デザイン事務所や企業の宣伝部に勤めている人はなぜ夜型になるのでしょう?
このデザイン業界永遠の問題を分析!←オーバーな・・・(^_^;)
自分の経験、人の話をもとに、あらためて考える、デザイン業界 夜型の理由です。これからデザイナーになろうとする読者の皆さんの参考になればいいのですが・・・。
「グラフィックデザイン業界 夜型になってしまう4つの理由」
1. 締切がシリアス ←なのに直前まで変更がある
どんな仕事でも締切がシリアスなのは当たり前ですが、広告やデザインの場合、何があろうと譲れない絶対的な締切がある割に、ギリギリまで容赦無い変更修正があります。急な修正が出たからと言って、新聞広告欄を白紙で出すわけにはいきませんのにね。たとえ個人商店が発信する数百枚のDMハガキであろうと、宣伝すべきタイミングに遅れるとお店にとっては大損害です。
校正(文字や色などの確認)のプロセスも飛ばすことはできないし、印刷には必ず印刷時間がかかります。しかし、突如掲載情報に間違いがあったとか、社長の一声が飛んだとか、いろんな事情でデザインがひっくり返ると、それでも予定通りの納期や締切に間に合わせる「緊急対応」という名のしわ寄せはデザイナーに来ることが多いのです。
「◯◯が決まっていない」ということもありがちな話です。お客様に出す情報だから、いい加減な情報は出せないと、ギリギリまで情報が決まらない、上がってこないということも頻繁に起こります。
印刷業界も納期を守るために無理を強いられることが多い業界ですが、紙の手配や印刷工程など作業的な必須時間をたてに、ムリなものはムリと割りきって考えられるという一面もあります。しかし、デザイナーは「徹夜すれば出来るんじゃないか」とか「君の手が早ければできるだろう?」と、スキルが高ければ間に合うだろう?と思われがちです。
また、デザイナーは専門職で、制作作業には専門スキルが必要だと言いながら、デザインしたものの良し悪しは素人さんでも意見できてしまうわけです。だから、デザインの途中でいろんな人が文句を言えます(笑)となると、確率として修正アクシデントも多発します。
2. クオリティのために作業時間が読めない ←自分でもやってみないとわからない
人のせいにすれば済む話でもありません。デザインは1時間もあればできるかな?と思っても実際やってみると、2時間、3時間かかったというように、自分でも時間が読みにくい作業です。
あるデザイン案を作れば終わると思ってやっていたのに、実際作ると自分でも納得できない・・・。これはもっとちゃんとやり直さないと、もう1案作らないと、とクオリティUPのために、予想外に時間がかかってしまうものです。
あるいは自分では出来たと思っても、クライアントがデザインに納得してくれないと、急いでやり直しという可能性があります。そうなるとデザイナーの力不足のために遅れたと言われても困るので、何とかスケジュールに影響を与えないようにしようと深夜になったりします。
パソコントラブルも予想外の攻撃をしかけてきます。作業中のデータが飛んだ!保存したはずが出来ていない!締切ギリギリに入稿したはずのデータが開けない!などなど。パソコンやソフト関連のトラブルは予測できませんが、その割に「万一の事故」ではなく、けっこう頻繁に起こり、デザイナーを途方に暮れさせ、深夜に「うそや~ん!(関西の場合)」と叫ばせたりします。
3. 専門スキルと丁寧な仕事が必須 ←なのにみんなはそんなに大変とは思っていない
上の2と関連しますが、どうも世の中の人は、ソフトも便利になっているからデザインや写真の修正などは、チョイチョイと簡単にできる作業だと考えがちのようです。
決まったデザインを淡々と作るような作業的な仕事なら、作業時間もストレスも少ないのですが、デザイナーでない人たちは、デザインのアイデアや手法を一緒に考えながらそれを作るという「思索」や「試作」の時間のことをイメージしてくれません。単純に決まったデザインを作る作業時間くらいしかイメージしてくれていないのです。
でもやっぱり広告などの媒体は、企業にとってお客様の目に直接触れる大切なコミュニケーションツールですから、いざ確認するとなると、真剣にチェックしなくては!となります。誠に悲しいことですが、締切が目前に迫り、最終段階に近づけば近づくほどクライアントの担当者もやっとチェックに気合いが入り、集中力が出てきますので、微に入り細に入り、気になるところを見つけるようになります。
そうなると、どんなに最初は「クイックでやってくれ」とか、「凝らなくていいからスピード重視で」、とか言っていても、結局丁寧にやるしかなく、本当にデザイナーが適当に飛ばし気味でやると、デザイナー自身が手痛い目にあうことは間違いありません(笑)
4. 人気の職業なので、価格競争が起こる
デザイナーは、横文字職業で何となくクリエイティブなことをしてそうでカッコ良く見えるので、志望する若者が多いです。きっとアニメーターや美容師もそういう意味で雇用環境が似ているのかもしれません。
だからこそ競争が激しく価格破壊が起こりやすいのです。価格競争が激しいと、たくさんの仕事をこなさないと従来の利益を確保できませんので、薄利多売のような状況に陥り、残業が増えます。業務過多気味でないとやっていけないということですので、定時にスパッと帰路につくことが難しくなります。
本当はデザインしたもののクオリティで勝負すべきなのですが、デザインはやらせてみないとわからないという側面があるので、価格比較のみで見られがちなのが残念なところです。
まとめ
おおまかには、以上の4つの理由が複合して、仕事の夜型を後押しします。
例えば、明日午後3時のお得意様との打合せに間に合えば良いデザイン案制作の仕事があるとします。朝9時から午後2時までの4時間で出来るなと予想していても、本当に4時間以内にできる保証はありません。
となると今日のうちに制作しておかないと怖いのです。ええ、深夜に及んでもです。それでもし翌日の朝9時から午後2時に仕事がなくダラダラすることになったとしてもです。←これが朝にルーズなデザイナーという伝説(真実?)を生んでいます。
仕事を当日に回して本当に間に合うかどうかわからない怖さより、仕事を終えて安心して寝て少ない睡眠時間に耐えるほうが心理的によほど楽だからです。
就職活動をするとき、残業時間が少ないことにこだわっていたはずの学生も、就職後は結局残業夜型になってしまう例をたくさん見てきました。よほどの仕事量コントロール能力が無い限り、このデザイン業界の夜型傾向は変わらないでしょうねー。
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さくらさん、コメントありがとうございます!
「グラフィックデザイン業界 夜型になってしまう4つの理由」
1. 締切がシリアス ←なのに直前まで変更がある
どんな仕事でも締切がシリアスなのは当たり前ですが、広告やデザインの場合、何があろうと譲れない絶対的な締切がある割に、ギリギリまで容赦無い変更修正があります。急な修正が出たからと言って、新聞広告欄を白紙で出すわけにはいきませんのにね。たとえ個人商店が発信する数百枚のDMハガキであろうと、宣伝すべきタイミングに遅れるとお店にとっては大損害です。
校正(文字や色などの確認)のプロセスも飛ばすことはできないし、印刷には必ず印刷時間がかかります。しかし、突如掲載情報に間違いがあったとか、社長の一声が飛んだとか、いろんな事情でデザインがひっくり返ると、それでも予定通りの納期や締切に間に合わせる「緊急対応」という名のしわ寄せはデザイナーに来ることが多いのです。
「◯◯が決まっていない」ということもありがちな話です。お客様に出す情報だから、いい加減な情報は出せないと、ギリギリまで情報が決まらない、上がってこないということも頻繁に起こります。
印刷業界も納期を守るために無理を強いられることが多い業界ですが、紙の手配や印刷工程など作業的な必須時間をたてに、ムリなものはムリと割りきって考えられるという一面もあります。しかし、デザイナーは「徹夜すれば出来るんじゃないか」とか「君の手が早ければできるだろう?」と、スキルが高ければ間に合うだろう?と思われがちです。
また、デザイナーは専門職で、制作作業には専門スキルが必要だと言いながら、デザインしたものの良し悪しは素人さんでも意見できてしまうわけです。だから、デザインの途中でいろんな人が文句を言えます(笑)となると、確率として修正アクシデントも多発します。
2. クオリティのために作業時間が読めない ←自分でもやってみないとわからない
人のせいにすれば済む話でもありません。デザインは1時間もあればできるかな?と思っても実際やってみると、2時間、3時間かかったというように、自分でも時間が読みにくい作業です。
あるデザイン案を作れば終わると思ってやっていたのに、実際作ると自分でも納得できない・・・。これはもっとちゃんとやり直さないと、もう1案作らないと、とクオリティUPのために、予想外に時間がかかってしまうものです。
あるいは自分では出来たと思っても、クライアントがデザインに納得してくれないと、急いでやり直しという可能性があります。そうなるとデザイナーの力不足のために遅れたと言われても困るので、何とかスケジュールに影響を与えないようにしようと深夜になったりします。
パソコントラブルも予想外の攻撃をしかけてきます。作業中のデータが飛んだ!保存したはずが出来ていない!締切ギリギリに入稿したはずのデータが開けない!などなど。パソコンやソフト関連のトラブルは予測できませんが、その割に「万一の事故」ではなく、けっこう頻繁に起こり、デザイナーを途方に暮れさせ、深夜に「うそや~ん!(関西の場合)」と叫ばせたりします。
3. 専門スキルと丁寧な仕事が必須 ←なのにみんなはそんなに大変とは思っていない
上の2と関連しますが、どうも世の中の人は、ソフトも便利になっているからデザインや写真の修正などは、チョイチョイと簡単にできる作業だと考えがちのようです。
決まったデザインを淡々と作るような作業的な仕事なら、作業時間もストレスも少ないのですが、デザイナーでない人たちは、デザインのアイデアや手法を一緒に考えながらそれを作るという「思索」や「試作」の時間のことをイメージしてくれません。単純に決まったデザインを作る作業時間くらいしかイメージしてくれていないのです。
でもやっぱり広告などの媒体は、企業にとってお客様の目に直接触れる大切なコミュニケーションツールですから、いざ確認するとなると、真剣にチェックしなくては!となります。誠に悲しいことですが、締切が目前に迫り、最終段階に近づけば近づくほどクライアントの担当者もやっとチェックに気合いが入り、集中力が出てきますので、微に入り細に入り、気になるところを見つけるようになります。
そうなると、どんなに最初は「クイックでやってくれ」とか、「凝らなくていいからスピード重視で」、とか言っていても、結局丁寧にやるしかなく、本当にデザイナーが適当に飛ばし気味でやると、デザイナー自身が手痛い目にあうことは間違いありません(笑)
4. 人気の職業なので、価格競争が起こる
デザイナーは、横文字職業で何となくクリエイティブなことをしてそうでカッコ良く見えるので、志望する若者が多いです。きっとアニメーターや美容師もそういう意味で雇用環境が似ているのかもしれません。
だからこそ競争が激しく価格破壊が起こりやすいのです。価格競争が激しいと、たくさんの仕事をこなさないと従来の利益を確保できませんので、薄利多売のような状況に陥り、残業が増えます。業務過多気味でないとやっていけないということですので、定時にスパッと帰路につくことが難しくなります。
本当はデザインしたもののクオリティで勝負すべきなのですが、デザインはやらせてみないとわからないという側面があるので、価格比較のみで見られがちなのが残念なところです。
まとめ
おおまかには、以上の4つの理由が複合して、仕事の夜型を後押しします。
例えば、明日午後3時のお得意様との打合せに間に合えば良いデザイン案制作の仕事があるとします。朝9時から午後2時までの4時間で出来るなと予想していても、本当に4時間以内にできる保証はありません。
となると今日のうちに制作しておかないと怖いのです。ええ、深夜に及んでもです。それでもし翌日の朝9時から午後2時に仕事がなくダラダラすることになったとしてもです。←これが朝にルーズなデザイナーという伝説(真実?)を生んでいます。
仕事を当日に回して本当に間に合うかどうかわからない怖さより、仕事を終えて安心して寝て少ない睡眠時間に耐えるほうが心理的によほど楽だからです。
就職活動をするとき、残業時間が少ないことにこだわっていたはずの学生も、就職後は結局残業夜型になってしまう例をたくさん見てきました。よほどの仕事量コントロール能力が無い限り、このデザイン業界の夜型傾向は変わらないでしょうねー。
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さくらさん、コメントありがとうございます!
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| 広告とデザイン業界 | 15:00 | comments:4 | trackbacks:0 | TOP↑
お久しぶりです。卒業生です。とっつきやすい?内容でしたので久しぶりに書き込みをしてみます〜!私はデザイン業界ではないのですが、創作するのは深夜の方がアイディアも沸きやすいそうなので、そういった理由から夜に作業してしまうのかなあと思っていました^^違ったので、思わずコメントしてしまいました。いつもお疲れ様です〜(*^_^*)
| さくら | 2014/10/30 21:50 | URL | ≫ EDIT