グラフィックデザインの雨音

グラフィックデザイナー志望者&初心者に語りかけるブログ

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【Q&A】どんな色にしてもよくならないんです、どうしたらいいんでしょう?

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授業後にひとりの生徒さんが教卓のところにやって来て、仕事でやっている冊子で相談があるので見てもらえませんかというので、いいですよと応じました。

その生徒さんを仮に北田さんとしましょう。彼女は2年目になったばかりのデザイナーさん(20代半ば)で、某新聞社グループのタウン誌をつくる会社にお勤めです。少ない制作人数で毎日終電ギリギリまで仕事をしています。

北田さんが私に見せてくれたのは、二つ折りにしたA3くらいの紙1枚で、それを広げるとタウン誌のある見開きページで、レストランが均等な四角のマスで6件レイアウトされています。右上には◯◯グルメというタイトルがあり、12月発行のようでした。本物をお見せするわけにはいかないのですが、ざっくりとは冒頭の画像のようなものでした。

どうも、その会社では内部に制作担当(デザイナー)はいるものの、営業担当から直接外部のデザイン事務所にデザインの依頼をするようなのですが、時間がないとき、外部発注では対応しにくいときに内部で制作するというスタイルらしいのです。

営業さんが企画して取ってきたこのレストラン紹介の見開きページ。デザイン会社に出してラフデザイン案があがってきたけど、営業さんはどうしても満足できません。

彼の意見では「デザインが良くない。これまで口頭だけで説明してきたものが、このデザイン案ではレストランさんが喜んでくれない。場合によってはこんな感じならやっぱりお断りします」なんてことにならないとも限らない。すぐやり直してほしい。

ところが、デザイン会社は、これ以上対応はできないと、それ以上のデザイン修正を断ってきたというのです。デザイン会社がそれ以上の修正を断るなんて、よほど安いギャラなんでしょうか。あまりいい関係ではないことが想像されますね・・・。

そこで営業さんは内部制作メンバーである北田さんに急いでもっといいデザインにしてほしいと頼んできたということなのです。


問題のひとつ目は時間がないことです(笑)・・・まぁ、きっとそうでしょうね。

デザオが授業あとにその話を聞いたのは、ある日曜日の夜です。北田さんが営業さんから頼まれたのは、その前日(土曜日)の夕方。そして月曜の午前中にはデザイン案をあげないといけない(笑) 要は暗黙のうちに北田さんに、休日である日曜日に自宅で修正して、月曜にそれをくれというひどい話なんです。

それ自体問題で怒りたいところですが、そこを語りだすと長くなるので、やめておいて(^_^;) 

北田さんは日曜日に専門学校の授業があるので、土曜日の夜にそのリ・デザインをやろうと頑張りました。レストランの数や写真の配置などおおまかな構成は変わりません。単純には色や柄やフレームなどの要素を変更することで、デザインを良く見せないといけません。ところが、色を変えてもどうしても良くなったように思えないというのです。

問題のふたつ目は色を変えてもなぜか良くならないことです。

別に色しか変えちゃダメというわけではないのですが、けっこうガチガチなデザインでここまで話が進んでいますから、あまり大きくも変えられない。色以外に変えるとすれば、タイトル部分、レストランの枠部分、背景の柄などが代表的な「さわれる」要素です。

再度、簡易イメージの画像を見てみましょう

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実際には文字もダミーながらちゃんと入っていてこの画像よりは本物っぽくなっているんですよ(^_^;) 背景もこんな柄じゃないですが、似たり寄ったりのどうでもいい感じの絵柄でした。しかし、色合いはだいたいこんな感じです。

正直言うと、私は営業さんの気持ちがよくわかりました。何だか華やかさのないデザインになっています。せっかくとってきた仕事をもっといい形でレストラン側に提示したいと思うでしょう。つまり、外注先のデザイナーもあまりいい仕事ができていません。(意図して力を入れていないのかどうかまではわかりませんが・・・)

最初、営業さんが相談に持参したとき、デザイン会社が作っていたのは違う色だったのですが、北田さんと話をして、青系にしてみたらどうだろうとやってみた。しかしやっぱりなんか良くない。緑系や黄色系、紫やオレンジなどいろいろ試したけど、良くならない(笑)

本来なら北田さんの上に上司か先輩のような立場の人がいて、テキパキと指示かアドバイスをして、スパッと終わらせるべき問題なのですが、残念ながら職場の人数は最低限度で、そのような立場の人がいないのです。

デザイナー2年目の北田さんが「君がもう中堅じゃないか、自分で解決しないと」などと上手いこと言われてしまうのです。しかし、細かいデザインの問題解決法を1年で身につけられたら、みんな苦労はしないのです。

そして困って、デザオ先生にきいてみようとなったわけです。

色相・明度・彩度とか話が難しくならないように・・・色は明るさで解決する

色の話をこうやって文字で説明しようとすると、ついつい色相、明度、彩度など難しそうな話になりがちです。実はいずれも、そんなに難しいことを言っている言葉ではないのですが、印象が難しいですよね?

別の機会にこれらの言葉については記事にしようと思いますが、今は単純に、色相→青系、赤系、緑系などの「色合い」のこと、明度→色の「明るさ」、彩度→色の「鮮やかさ」、と思ってください。

色あい?

それだけ理解してもらえればあとは簡単です。北田さんが試したという色変更は、おもに色合いのことを言っています。私としては、色合いで言えば、青系は良くない、と伝えました。夏っぽいし、12月には寒々しいですしね。

色合いはバリエーションがわずかですから、大まかな統一感はつくれても、それだけでは上手くいかないことが多い。青系を避けたとしても、緑にすると森のアウトドアか軍隊みたい、黄緑にすると春の行楽みたい、赤にすると中華料理かクリアランスセールみたいで派手すぎる、黄色にするとレイアウトが引き締まらない、紫にすると占いのページみたい、などと、なかなか印象がフィットしません。

しかし、どれかは選ばないといけません。どれも選ばないと、無彩色(白、グレー、黒)などになってしまいます。超シンプルならそれもありですが、それはそれで気をつけないとお葬式みたいになりますもんね(^o^)

鮮やかさ?

また、一般的な商業印刷であるオフセット印刷では鮮やかさがあまり出せません。一番鮮やかな色が、シアン、マゼンタ、イエローの原色です。色を混ぜれば混ぜるほど暗くなる減法混色という理屈で作られている印刷の色は、最初のCMY以上に鮮やかにはならないのです。

明るさ?

つまり、ほとんどの「色が上手くまとまらない」という問題は、「明るさ」で解決するしかないのです。つまり、CMYKのプロセスカラーでいうと、掛け合わせるアミ点を少なくするため%を下げる→パステルカラーにしていくということです。北田さんには、上のような長い理屈は言っていないものの、結論的に言いました。「もっとパステルカラーを使いましょう!」と。

ある百貨店のディレクターがこう言っていました。ごちゃごちゃと写真が多くなるものほど、写真に映っている商品の色が引き立つように、プロセスカラーで着色する部分は50%以下にするといいよ、と。C30+M20で50%です。Y10+M40%で50%です。CMYKをどう掛け合わせようが、それ以上、色を濃くしないという意味です。

実際やってみると、50%以下というのはちょっとオーバーに低く言い過ぎだなとわかりましたが、それでも目安というか、それくらいの気持ちで薄くしていくというのは、写真を引き立てるためにとても効果的であることがわかりました。

結論

では結局、色合いはどうするのか?なんだかんだ言ってもどれかにしなくちゃあいけません。しかも、北田さんが徹夜しなくてもできるような最低限度の変更で、見栄えが良くなる方法です。

冬のクリスマスシーズンですがクリスマス特集ではないので、緑と赤にはしにくいです。それなら、せめてゴージャスなイメージで金色はどうかと北田さんに提案しました。

もちろん、このような媒体で特色の金色なぞ使えません。CMYKの掛け合わせの範囲で考えます。なので、黄土色のうす~~~い色で、金色っぽく見せるのです。黄土色ですから、濃すぎるととんでもなく汚いことになります。やはり50%以下の気持ちで、抑えた色使いがキーです。

そのキーカラーのチョイスは凄く地味に聞こえるかもしれませんが、どうせたくさんの写真やパターンの色が乗りますから、ある程度、華やかさは出るのです。

背景の柄も、無意味なパターンや、意味不明な植物柄は避け、12月らしい雪が舞い散るようなランダムなドット柄などがきっといいですね。ベタですが、雪の結晶っぽいイメージのパターンや星型でも、小さく扱えば上品になるでしょう。

レイアウトを固く見せている各レストランを囲む四角も、楕円四角にしたり、子持ち罫(太い線と細い線がワンセットになった罫)にしたりするだけで、今のレイアウトの固い印象は多少解消されるでしょう。

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多少はマシになりましたかネ・・・?

ふと考えると、こうやって具体的なデザインの相談について、当「グラ雨」で書いたことはあんまりなかったんじゃないでしょうかねぇ・・・。そりゃあ、相談されている制作途中の広告を公開できるはずもありませんから、当たり前のことなんですけど、本当はみんなそういう「自分が直面しているデザインの悩み」にアドバイスがほしいんだと思います。

学生には北田さんのように、実際にデザイナーとして働くかたわら学校にくる人がたくさんいます。そういう方々の質問を受けていると、現在の企業には、管理職はいても、ケースバイケースの色使いやレイアウトの基本テクニックやノウハウを教えてくれる中堅どころがいない職場がいかに多いかと気づかされます。

この頃、デザオに直接会ってデザイン作品やポートフォリオを見せたい、相談に乗ってもらえませんか?というお問い合わせが少しづつ増えていますが、就職相談をしてくれるところはあっても、やはりそういうデザインそのものを相談できる機会や先輩の存在がなかなかないんだなぁ・・・と考えるデザオなのでした。

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| デザインの基本(実践編) | 15:30 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT

遡って読んでいて、思わずなるほど〜!と思ったのでコメントしてしまいました。
この記事に出ている例…まさに自分にもよくあることで、ちょっとヒントをもらえたように感じました^^!

| | 2014/11/02 21:47 | URL |

コメントありがとうございます!

そうですね!これは結構よくある悩みなんじゃないかと思います。
いつもありがとうございます!

| デザオ | 2014/11/02 22:01 | URL |















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