角ハイボールがお好きでしょ。やっぱりお酒の広告はこうでなくっちゃ!
いやー、秋が深まってきましたね―!衣替えを本気でやろうと思ったら、使える秋冬ものの少なさに愕然としましたですオー。
そんな秋真っ盛りになんですが、7月29日の暑い盛りの電車内の吊り広告です。B3ワイドと呼んだりする、車内吊りポスターが2枚つながったサイズです。
企業はサントリー、商品はサントリーウイスキー。キャッチコピーは「つめたいつめたい 角ハイボールがお好きでしょ。」、「・・・が」の下の小さな横組みの文字は「SUNTORY WHISKY KAKU-HIGHBALL」、左上のロゴには「水と生きる SUNTORY」です。
まぁ、天下のサントリー宣伝部さんに媚びるわけではないけど、やっぱりお酒の広告はこうでなくっちゃ!
モデル(井川遥)がきれい(え?)、写真がきれい、レイアウトが上手い、キーカラーが明確、すっきりシンプルで伝えたい情報が徹底的に絞りこまれている、です!
詳しく分析します!
日本でハイボールと言えばウイスキーのソーダ割で、昔からあるお酒の飲み方なので、古い、おじさんくさいと言ってもいいくらいのイメージでした。喫茶店のクリームソーダみたいな感じかな。
でも今や流行の飲み方になり、女性もハイボールをダサいだなんて思わないですよね?人気もウイスキーの売上もぐんぐん伸びてきているようです。
その背景には、ちょっとブレイクしかけたときに、ここぞとばかりに仕掛けられたサントリーのキャンペーンが成功して、現在の状況になったと言っても過言ではないでしょう。もしかしてその「ブレイクしかけ」のきっかけも仕掛けなのか?それは知りません。
ハイボールのキャンペーンが始まってから、メインモデルが、小雪→菅野美穂→井川遥と来ましたよね。きっと最初の小雪起用の理由は、かなり古臭かったハイボールのイメージを高めるために、ゴージャスで高級感と品のある人を!ということなのでしょう。
その後、2011年4月に松山ケンイチと結婚、9月に妊娠5ヶ月と発表。妊婦である小雪はお酒の広告には問題があります。そのせいかモデルは菅野美穂にスイッチしました。
このときはデザオも正直、え?菅野美穂!?と驚きました。菅野美穂は男性に人気とは思いますが、あまり大人のイメージではないですよねー。どちらかというと親近感のある女優さんです。小雪系で考えると何かイメージが違う・・・。
そして2014年1月から、井川遥に変わりました。これは、起動修正がはかられた!と思いましたよ。小雪の高級感は凄いけど、ツンと冷たい印象もある、菅野美穂は演技力はあるけど親近感ありすぎてゴージャス感に欠ける、と考えると、今度の井川遥はその真ん中をいくベストチョイスじゃないですか。きれいだし、女性の好感度も高い。
ライティングを見てください。広告定番は左上からのライティングですが、普通45度くらいから差し込むことが多い光を、井川遥の髪の分け目に合わせた高い角度からになっています。
そしてあまり正面から当てずトップライトに近い位置で、コントラストがきつくなりすぎない程度に照明を拡散させたうえで、濃い目の影が顔に落ちています。コントラストがきつくなりすぎると、日光のように見えますからねー。
商品のガラス瓶への映り込みももちろん気をつけられています。手前のピンぼけにしたジョッキはおそらく別撮りしたものを合成してるんじゃないかと思うのですが、ちゃんと黄色の背景が透けているように取られています。(合成でなく井川遥と同時に撮影しているなら、それはそれで微妙なピンボケを狙うのが至難の業ですから凄いことです)
普通の人がこの広告を見ると、わぁ、井川遥キレイ!ってなるかもしれないのですが、デザオはそのように見せる、写真と構図がキレイ!って思ってしまうのです(笑)
引いて、ポスター全体の構図(レイアウト)を見て下さい。キャッチコピーは、一文字づつ違う大きさの細い明朝系フォントで、文字を左右にずらしながら、少しづつ右上から左下に流れるようにレイアウトされています。
井川遥は左よりに配置され、キャッチコピーのまわりをすっきりとして、目立つようになっています。ジョッキが井川遥のさらにその左です。サントリーのロゴはさらにその左で上よりです。
つまり、このポスターをパッと見た時に、右から左への流れがあることがわかります。ワンキャッチ、ワンビジュアルの広告は、どう配置しようがそんなに混乱せず理解できるものですが、やはりセオリーに沿うと、頭にす~っと入るので美しいと感じますね!
また空白(黄色いスペース)と写真のスペースのバランスが絶妙です。写真が大きすぎるとムッとするし、小さすぎるとスカスカに感じます。このあたりの絶妙さ、さすがです。
井川遥の頭が額のところでトリミング(カット)されていますが、これは広告ではよくある手法で、写真を少しでも大きく配置し迫力を優先しています。雑誌の表紙でモデルの頭に雑誌名の文字が乗ってくるのと同じです。
しかし、惜しむらくは、キャッチコピーの最初の「つ」が少し上になりすぎました。吊り金具に近すぎ、もう少しで接してしまうほどです。デザイナーさんもきっとここはもう少し余白をとりたかったでしょう。
車内吊りポスターは「くわえ」と呼ばれる、金具で挟むスペースを、あらかじめレイアウトの段階であけておかなければなりません。これがひどい場合には上部5cmには文字を入れないでくださいとか言われるのです。
B3ポスターの天地364mmのうちの50mmですからけっこう厳しい条件です。このポスターはワイドサイズなので大丈夫ですが、車内吊りとドア横枠などで共通のポスターをどちらの位置にも使うときには、ドア横にいれられたポスターの上部に、違和感のあるアキが残ったりしてしまうのです。
本来はそれで違和感が出ないように、両方の掲出場所に使えるようなレイアウトを考えるべきなのですが、ときどきそれをあきらめたポスターも見かけます。
しかも、「くわえ」の天地50mmをとり、さらにレイアウトの余白15mmなどをとって文字をレイアウトしていたら、実際は、電鉄会社や車両によって「くわえ」で隠れるサイズが微妙に違い、実際に隠れていたのは30mmだったりして、余白が広く見えすぎる!なんてこともザラにあるのです。予測しにくいんですね。
ですから、このサントリーのポスターも、あちこちの電鉄会社に掲出するために、たまたまこの電車では「つ」が上よりになったということかもしれません。いやまず間違いなくそうでしょう。
キーカラーが明確
キーカラーは黄色です。黄色なら何でもいいんじゃなくて、サントリー角瓶のラベルの色に合わせているわけです。だから井川遥が手で持っている商品のラベルが黄色でも、コーディネートされていてキレイに見えるのですね!
よく見てください。井川遥の服は白です。つまり、このポスター全体で、井川遥以外は、黄色系と白系だけになるようにしているのです。レイアウトだけでなく色も十分に絞り込んでいるのですね。
またこのようにキーカラーを絞り込むことは、キャンペーンの基本的テクニックですよね~。WEBサイトも含めて、いろんな広告メディアで同じ角ハイボールの宣伝をするときに、同じ黄色にすることで統一感が生まれます。
すっきりシンプルで伝えたい情報が徹底的に絞りこまれている
よ~く考えると、本来これはウイスキーの広告のはずなんですが、ハイボール押し(つまり飲み方の提案)がコンセプトであり主役です。
食品企業が一所懸命、食べ方、レシピの提案をいかに販促とセットでやるかということに苦心していますが、それと同じく、飲み方を提案したほうが、結果的にウイスキーが売れるんですもんね。サントリーさんも、その辺は徹底してまして、ホームページには動画で井川遥さんによるハイボールの作り方が紹介されています。
井川遥 サントリーウイスキー角瓶『つくりかた』篇 60秒 角ハイボール
こうやって、動画の中でサントリーの角を使われちゃあ、ほかのウイスキーじゃなくて角で作りたくなりますよね(笑)
というわけで、クオリティに納得のポスターです!←おー、珍しこともあるやーん(^o^)
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でも今や流行の飲み方になり、女性もハイボールをダサいだなんて思わないですよね?人気もウイスキーの売上もぐんぐん伸びてきているようです。
その背景には、ちょっとブレイクしかけたときに、ここぞとばかりに仕掛けられたサントリーのキャンペーンが成功して、現在の状況になったと言っても過言ではないでしょう。もしかしてその「ブレイクしかけ」のきっかけも仕掛けなのか?それは知りません。
モデル(井川遥)がきれい
ハイボールのキャンペーンが始まってから、メインモデルが、小雪→菅野美穂→井川遥と来ましたよね。きっと最初の小雪起用の理由は、かなり古臭かったハイボールのイメージを高めるために、ゴージャスで高級感と品のある人を!ということなのでしょう。
その後、2011年4月に松山ケンイチと結婚、9月に妊娠5ヶ月と発表。妊婦である小雪はお酒の広告には問題があります。そのせいかモデルは菅野美穂にスイッチしました。
このときはデザオも正直、え?菅野美穂!?と驚きました。菅野美穂は男性に人気とは思いますが、あまり大人のイメージではないですよねー。どちらかというと親近感のある女優さんです。小雪系で考えると何かイメージが違う・・・。
そして2014年1月から、井川遥に変わりました。これは、起動修正がはかられた!と思いましたよ。小雪の高級感は凄いけど、ツンと冷たい印象もある、菅野美穂は演技力はあるけど親近感ありすぎてゴージャス感に欠ける、と考えると、今度の井川遥はその真ん中をいくベストチョイスじゃないですか。きれいだし、女性の好感度も高い。
写真がきれい
ライティングを見てください。広告定番は左上からのライティングですが、普通45度くらいから差し込むことが多い光を、井川遥の髪の分け目に合わせた高い角度からになっています。
そしてあまり正面から当てずトップライトに近い位置で、コントラストがきつくなりすぎない程度に照明を拡散させたうえで、濃い目の影が顔に落ちています。コントラストがきつくなりすぎると、日光のように見えますからねー。
商品のガラス瓶への映り込みももちろん気をつけられています。手前のピンぼけにしたジョッキはおそらく別撮りしたものを合成してるんじゃないかと思うのですが、ちゃんと黄色の背景が透けているように取られています。(合成でなく井川遥と同時に撮影しているなら、それはそれで微妙なピンボケを狙うのが至難の業ですから凄いことです)
普通の人がこの広告を見ると、わぁ、井川遥キレイ!ってなるかもしれないのですが、デザオはそのように見せる、写真と構図がキレイ!って思ってしまうのです(笑)
レイアウトが上手い
引いて、ポスター全体の構図(レイアウト)を見て下さい。キャッチコピーは、一文字づつ違う大きさの細い明朝系フォントで、文字を左右にずらしながら、少しづつ右上から左下に流れるようにレイアウトされています。
井川遥は左よりに配置され、キャッチコピーのまわりをすっきりとして、目立つようになっています。ジョッキが井川遥のさらにその左です。サントリーのロゴはさらにその左で上よりです。
つまり、このポスターをパッと見た時に、右から左への流れがあることがわかります。ワンキャッチ、ワンビジュアルの広告は、どう配置しようがそんなに混乱せず理解できるものですが、やはりセオリーに沿うと、頭にす~っと入るので美しいと感じますね!
また空白(黄色いスペース)と写真のスペースのバランスが絶妙です。写真が大きすぎるとムッとするし、小さすぎるとスカスカに感じます。このあたりの絶妙さ、さすがです。
井川遥の頭が額のところでトリミング(カット)されていますが、これは広告ではよくある手法で、写真を少しでも大きく配置し迫力を優先しています。雑誌の表紙でモデルの頭に雑誌名の文字が乗ってくるのと同じです。
しかし、惜しむらくは、キャッチコピーの最初の「つ」が少し上になりすぎました。吊り金具に近すぎ、もう少しで接してしまうほどです。デザイナーさんもきっとここはもう少し余白をとりたかったでしょう。
車内吊りポスターは「くわえ」と呼ばれる、金具で挟むスペースを、あらかじめレイアウトの段階であけておかなければなりません。これがひどい場合には上部5cmには文字を入れないでくださいとか言われるのです。
B3ポスターの天地364mmのうちの50mmですからけっこう厳しい条件です。このポスターはワイドサイズなので大丈夫ですが、車内吊りとドア横枠などで共通のポスターをどちらの位置にも使うときには、ドア横にいれられたポスターの上部に、違和感のあるアキが残ったりしてしまうのです。
本来はそれで違和感が出ないように、両方の掲出場所に使えるようなレイアウトを考えるべきなのですが、ときどきそれをあきらめたポスターも見かけます。
しかも、「くわえ」の天地50mmをとり、さらにレイアウトの余白15mmなどをとって文字をレイアウトしていたら、実際は、電鉄会社や車両によって「くわえ」で隠れるサイズが微妙に違い、実際に隠れていたのは30mmだったりして、余白が広く見えすぎる!なんてこともザラにあるのです。予測しにくいんですね。
ですから、このサントリーのポスターも、あちこちの電鉄会社に掲出するために、たまたまこの電車では「つ」が上よりになったということかもしれません。いやまず間違いなくそうでしょう。
キーカラーが明確
キーカラーは黄色です。黄色なら何でもいいんじゃなくて、サントリー角瓶のラベルの色に合わせているわけです。だから井川遥が手で持っている商品のラベルが黄色でも、コーディネートされていてキレイに見えるのですね!
よく見てください。井川遥の服は白です。つまり、このポスター全体で、井川遥以外は、黄色系と白系だけになるようにしているのです。レイアウトだけでなく色も十分に絞り込んでいるのですね。
またこのようにキーカラーを絞り込むことは、キャンペーンの基本的テクニックですよね~。WEBサイトも含めて、いろんな広告メディアで同じ角ハイボールの宣伝をするときに、同じ黄色にすることで統一感が生まれます。
すっきりシンプルで伝えたい情報が徹底的に絞りこまれている
よ~く考えると、本来これはウイスキーの広告のはずなんですが、ハイボール押し(つまり飲み方の提案)がコンセプトであり主役です。
食品企業が一所懸命、食べ方、レシピの提案をいかに販促とセットでやるかということに苦心していますが、それと同じく、飲み方を提案したほうが、結果的にウイスキーが売れるんですもんね。サントリーさんも、その辺は徹底してまして、ホームページには動画で井川遥さんによるハイボールの作り方が紹介されています。
井川遥 サントリーウイスキー角瓶『つくりかた』篇 60秒 角ハイボール
こうやって、動画の中でサントリーの角を使われちゃあ、ほかのウイスキーじゃなくて角で作りたくなりますよね(笑)
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| 雑記 | 16:16 | comments:2 | trackbacks:0 | TOP↑
ぼくもこの広告はキレイだと思っていました。情報の整理もそうですが、もはや商品が写っていなくても何の広告かわかるんじゃないかという色と統一感。
何より文字組みのキレイさに驚きます。
あと1mm小さくても、大きくてもダメなんじゃないかと思うほどのハマり方。
紙の広告の文字がまるでCMの歌を歌っているかのようで大好きでした。
この記事を見た瞬間「キター」って思いました!
| デザたまご | 2014/10/20 23:06 | URL |