デザイナーに仕事を依頼するという仕事で苦労している人へ・・・その②
前回に引き続き、デザイナーへ仕事を依頼することで困っている人へ向けてのお話です。
外部デザイナーのあげてくるデザインに愚痴をこぼすのは簡単なことですが、その前に窓口担当者としての責任を果たそう!ということで、そのためにおさえておくべきことの基本4つをご紹介します。
① 外部デザイナーに敬意を払う
これは私が新入りのころ、宣伝部にいた上司に言われたことです。その上司の考えでは、外注は「仕事を出してやっている」のではない、「プロのクオリティで助けてもらう」のだそうです。
当時のデザオからすれば、デザイナーを含めた外部スタッフは全員かなり年上でしたので、それは言われなくても自然とそう思えました。たまたま立場が仕事を出す側になっているだけで、広告業界という意味では大先輩の皆さんですから、心底恐縮しながら、「ADとは言いながら若造ですみません、いろいろ教えて下さい」という姿勢で望めました。
しかし、同僚の中には「私はクライアントでアートディレクター、あなたには仕事を出してやっている」という態度と話し方を躊躇なく出す人もいて、本当にびっくりしました。考え方の差とも言えるでしょう。
もしそんなに年齢差がないとか、外部デザイナーの方が若い場合でも、敬意は払ったほうが良いです。少なくとも、敬意を払っている演技をしてほしいです!(^_^;)
デザイナーは往々にして「職人気質」です。つまり、仕事のディテールに独特のこだわりとプライドがあり、頑固です。この職人気質の人たちはやっぱり褒めてもらうと嬉しいのです(笑)いいデザインがあがってきたときに「仕事が早いですねー、素敵なデザインだなぁ、さすがだなー」と言ってあげてください。「いやぁ」とかいいながら、ついついもっとがんばってくれます。
② 依頼内容の明確化
外部デザイナーを最初の打合せに呼んで、依頼する仕事の説明をするとき、依頼事項をできるだけ詳細にまとめたプリントを用意しましょう。
企画概要、タイトル、依頼内容、スケジュール(納期)、ギャラ、注意事項など、一見、当たり前に見える情報こそ書き出しておくべきです。打合せだから口頭で話せばいいや、ではなく、話もするのですが、あくまでそれをプリントにまとめておくのです。
与件(与えられた条件)がプリント化されているとデザイナーも振り返りながら仕事が進められるので助かりますが、依頼した担当者本人も時間がたったあと、それを見返して「そうだった、こういう風に依頼したのだった」と思い出せるからです。
それに実は、このプリントにまとめる作業の過程で、宣伝担当者は、細かい内容を上司に確認したり、発注前の不備に気づいたりするというメリットがとても大きいのです。
③ 参考資料の準備
パソコンとネット環境が発達して困るのは、必要な資料を「あとで送ります」で済まされることです。そしてその「あとで」が2、3日もあとになると、本来なら打合せを終えたらすぐにでも取り掛かりたいときでも、少し足りない資料があるせいで全体が着手できないということがよく有ります。
そうなると、わざわざ少しでも早くと月曜日に打合せしたのに、デザイナーが実際に作業に入れたのが金曜日だった、などということになりかねません。最初の打合せで渡すべき資料をビシッと渡して、デザイナーの限られた時間を有効に活用してもらいましょう。結局それは、いいデザインという結果となって跳ね返ってくるのですから。
④ 自分が会社の代表という意識を持つ
外部デザイナーからすれば、あなた(窓口となる宣伝担当者)は会社の代表です。そのあなた自身が、あなたの上司や偉いさんを説得してプレゼンを成功させないといけないし、調整事項や確認事項を処理しなくてはいけません。
そのためにも、担当者自身が、依頼した広告に情熱や責任感がないと困ります。もし適当に考えていたら、それはデザイナーに伝わってしまいます。まして言葉にして「ああ、それ、適当なデザインでもいいよ。凝らなくてもいいからね。」などと言われて、楽しくデザインできるはずがありません。
一番いけないのは、窓口担当者が広告内容を深く理解せず、上司やその他から言われたことを「右から左」の流し仕事でデザイナーに伝えてしまうことです。
「右から左」の例①
たとえば、あなたの上司が「デザインが良くない」と言っているとしましょう。
そして「右から左」。デザイナーに「すいません、うちの上司がデザインが良くないって言っているんで改善お願いします」と伝えたとしましょう。デザイナーは当然やり直すのが大変ですから、次はそうならないように詳しく質問したくなります。どこが良くないのか、できるだけ具体的に教えてほしいのです。
でも上司からは「デザインが良くない」としか聞いていないので、実は担当者であるあなたは詳しくわからない。「上司の言うことはよくわからないんです・・・すみません」「え??」←目が点ですよね(*_*) あなたは把握してないの・・・?と思われます。
さらに担当者の意欲が低いと、それを上司に再度確認するのが億劫だったり、自分がよく確認しなかったということを上司に怒られそうな気がするから「とにかく良くしてください!」などとやってしまう・・・(・_・;)
このように自分がめんどうくさいので、調整・確認を放棄して、デザイナーに適当な指示をしてしまったりするのは担当者として最低です。
窓口担当者は会社の代表です。言わば社長の代理人です。
本来なら、上司に「デザインが良くない」と言われたときに、外部デザイナーの立場に立って「どこが良くないのですか?」「もっと具体的に教えてください」と、自分自身がデザインしなければならないかのように、徹底して必要なことを聞き出す努力が要るのです。
「右から左」の例②
似たような「右から左」の例で良くあるパターンに、資料をよく見ない担当者というのがあります。
窓口担当者がデザイナーに関連資料としてたくさんの資料を渡します。(あるいは資料ファイルをメールで送ります)デザイナーは、うわぁ、忙しいのにポイントだけまとめて教えてくれよー!(T_T)と思いながらも資料を読み込みます。
すると、最初の打合せと違う内容や、広告サイズが違うなどの相違を発見しました。急いで担当者に連絡し、その部分の確認をすると「どこですか?えーと、えーと、ははぁ~ん、本当ですね。わかりました。確認して折り返します。」
そして新たな資料がデザイナーに送られてくる→また同じ箇所が間違っている→確認する→「あ、本当だ。おっかしいなー。もう一度言っておきます。」→違う資料がデザイナーに送られてくる→また間違っている→確認する→「本当ですねー、おかしいなー、すいません何度も。まだ確認したほうがいいですか?そこ適当にやっといてくれません?」→「はい???」
もーイヤ!同じことの繰り返しで、かつ話がどんどん複雑になっていきます。一般的にもよく「伝書鳩じゃないんだから」と表現されるような状態です。担当者はデザイナーに渡す資料をちゃんと読んで、まず自分自身がしっかりと内容を理解してもらわないと困りますよね~!
確認事項が発生したときも、まずは自分で資料を確認しておけば、度重なる確認地獄にデザイナーを巻き込まなくて済むのですが、忙しいのか怠慢なのか、よく見ずに曖昧なままデザイナーに「右から左」で渡してしまうのです。
もしこんな宣伝担当者がいたら、それは外部スタッフに対して本当に失礼な話です。最初の「外部デザイナーに敬意を払う」にも反しますしねー!
まとめ
さぁ、この4つの基本をおさえておくだけで、外部デザイナーへの依頼関係はかなりしっかりとするはずです。会社の中と外の中継点にいる担当者は、伝書鳩や単なる連絡係ではなく、情報の関所です。怪しい情報、曖昧な情報は確認をし、関所を通すときには自分がチェックしたことに責任を持つという気概が要ります。
この基本を大前提に、次回はもっとデザインや表現よりの具体的な話を書きたいと思います。外部デザイナーのデザインにどこまで「こうしてほしい」を伝えるべきか、についてです。
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これは私が新入りのころ、宣伝部にいた上司に言われたことです。その上司の考えでは、外注は「仕事を出してやっている」のではない、「プロのクオリティで助けてもらう」のだそうです。
当時のデザオからすれば、デザイナーを含めた外部スタッフは全員かなり年上でしたので、それは言われなくても自然とそう思えました。たまたま立場が仕事を出す側になっているだけで、広告業界という意味では大先輩の皆さんですから、心底恐縮しながら、「ADとは言いながら若造ですみません、いろいろ教えて下さい」という姿勢で望めました。
しかし、同僚の中には「私はクライアントでアートディレクター、あなたには仕事を出してやっている」という態度と話し方を躊躇なく出す人もいて、本当にびっくりしました。考え方の差とも言えるでしょう。
もしそんなに年齢差がないとか、外部デザイナーの方が若い場合でも、敬意は払ったほうが良いです。少なくとも、敬意を払っている演技をしてほしいです!(^_^;)
デザイナーは往々にして「職人気質」です。つまり、仕事のディテールに独特のこだわりとプライドがあり、頑固です。この職人気質の人たちはやっぱり褒めてもらうと嬉しいのです(笑)いいデザインがあがってきたときに「仕事が早いですねー、素敵なデザインだなぁ、さすがだなー」と言ってあげてください。「いやぁ」とかいいながら、ついついもっとがんばってくれます。
② 依頼内容の明確化
外部デザイナーを最初の打合せに呼んで、依頼する仕事の説明をするとき、依頼事項をできるだけ詳細にまとめたプリントを用意しましょう。
企画概要、タイトル、依頼内容、スケジュール(納期)、ギャラ、注意事項など、一見、当たり前に見える情報こそ書き出しておくべきです。打合せだから口頭で話せばいいや、ではなく、話もするのですが、あくまでそれをプリントにまとめておくのです。
与件(与えられた条件)がプリント化されているとデザイナーも振り返りながら仕事が進められるので助かりますが、依頼した担当者本人も時間がたったあと、それを見返して「そうだった、こういう風に依頼したのだった」と思い出せるからです。
それに実は、このプリントにまとめる作業の過程で、宣伝担当者は、細かい内容を上司に確認したり、発注前の不備に気づいたりするというメリットがとても大きいのです。
③ 参考資料の準備
パソコンとネット環境が発達して困るのは、必要な資料を「あとで送ります」で済まされることです。そしてその「あとで」が2、3日もあとになると、本来なら打合せを終えたらすぐにでも取り掛かりたいときでも、少し足りない資料があるせいで全体が着手できないということがよく有ります。
そうなると、わざわざ少しでも早くと月曜日に打合せしたのに、デザイナーが実際に作業に入れたのが金曜日だった、などということになりかねません。最初の打合せで渡すべき資料をビシッと渡して、デザイナーの限られた時間を有効に活用してもらいましょう。結局それは、いいデザインという結果となって跳ね返ってくるのですから。
④ 自分が会社の代表という意識を持つ
外部デザイナーからすれば、あなた(窓口となる宣伝担当者)は会社の代表です。そのあなた自身が、あなたの上司や偉いさんを説得してプレゼンを成功させないといけないし、調整事項や確認事項を処理しなくてはいけません。
そのためにも、担当者自身が、依頼した広告に情熱や責任感がないと困ります。もし適当に考えていたら、それはデザイナーに伝わってしまいます。まして言葉にして「ああ、それ、適当なデザインでもいいよ。凝らなくてもいいからね。」などと言われて、楽しくデザインできるはずがありません。
一番いけないのは、窓口担当者が広告内容を深く理解せず、上司やその他から言われたことを「右から左」の流し仕事でデザイナーに伝えてしまうことです。
「右から左」の例①
たとえば、あなたの上司が「デザインが良くない」と言っているとしましょう。
そして「右から左」。デザイナーに「すいません、うちの上司がデザインが良くないって言っているんで改善お願いします」と伝えたとしましょう。デザイナーは当然やり直すのが大変ですから、次はそうならないように詳しく質問したくなります。どこが良くないのか、できるだけ具体的に教えてほしいのです。
でも上司からは「デザインが良くない」としか聞いていないので、実は担当者であるあなたは詳しくわからない。「上司の言うことはよくわからないんです・・・すみません」「え??」←目が点ですよね(*_*) あなたは把握してないの・・・?と思われます。
さらに担当者の意欲が低いと、それを上司に再度確認するのが億劫だったり、自分がよく確認しなかったということを上司に怒られそうな気がするから「とにかく良くしてください!」などとやってしまう・・・(・_・;)
このように自分がめんどうくさいので、調整・確認を放棄して、デザイナーに適当な指示をしてしまったりするのは担当者として最低です。
窓口担当者は会社の代表です。言わば社長の代理人です。
本来なら、上司に「デザインが良くない」と言われたときに、外部デザイナーの立場に立って「どこが良くないのですか?」「もっと具体的に教えてください」と、自分自身がデザインしなければならないかのように、徹底して必要なことを聞き出す努力が要るのです。
「右から左」の例②
似たような「右から左」の例で良くあるパターンに、資料をよく見ない担当者というのがあります。
窓口担当者がデザイナーに関連資料としてたくさんの資料を渡します。(あるいは資料ファイルをメールで送ります)デザイナーは、うわぁ、忙しいのにポイントだけまとめて教えてくれよー!(T_T)と思いながらも資料を読み込みます。
すると、最初の打合せと違う内容や、広告サイズが違うなどの相違を発見しました。急いで担当者に連絡し、その部分の確認をすると「どこですか?えーと、えーと、ははぁ~ん、本当ですね。わかりました。確認して折り返します。」
そして新たな資料がデザイナーに送られてくる→また同じ箇所が間違っている→確認する→「あ、本当だ。おっかしいなー。もう一度言っておきます。」→違う資料がデザイナーに送られてくる→また間違っている→確認する→「本当ですねー、おかしいなー、すいません何度も。まだ確認したほうがいいですか?そこ適当にやっといてくれません?」→「はい???」
もーイヤ!同じことの繰り返しで、かつ話がどんどん複雑になっていきます。一般的にもよく「伝書鳩じゃないんだから」と表現されるような状態です。担当者はデザイナーに渡す資料をちゃんと読んで、まず自分自身がしっかりと内容を理解してもらわないと困りますよね~!
確認事項が発生したときも、まずは自分で資料を確認しておけば、度重なる確認地獄にデザイナーを巻き込まなくて済むのですが、忙しいのか怠慢なのか、よく見ずに曖昧なままデザイナーに「右から左」で渡してしまうのです。
もしこんな宣伝担当者がいたら、それは外部スタッフに対して本当に失礼な話です。最初の「外部デザイナーに敬意を払う」にも反しますしねー!
まとめ
さぁ、この4つの基本をおさえておくだけで、外部デザイナーへの依頼関係はかなりしっかりとするはずです。会社の中と外の中継点にいる担当者は、伝書鳩や単なる連絡係ではなく、情報の関所です。怪しい情報、曖昧な情報は確認をし、関所を通すときには自分がチェックしたことに責任を持つという気概が要ります。
この基本を大前提に、次回はもっとデザインや表現よりの具体的な話を書きたいと思います。外部デザイナーのデザインにどこまで「こうしてほしい」を伝えるべきか、についてです。
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