アーティストとグラフィックデザイナーの違いとは?④
アートとデザインについての第4弾で、このトピックの最終回です。
デザイナー仕事でアーティストぶるのはむしろカッコ悪いよーと言いました。でも勘違いしてほしくないのは、デザインの仕事で自分のアーティスティックな表現を一切出すなということじゃあ、決してないですからね。
デザイナーのもとにはいろんなクライアントからいろんな仕事が来て、そのたびに狙いが違うはずなのに、どれもこれも自分の個性むき出しにするのは良くないですよ~、ということです。逆に言えば、ひとつひとつの仕事に、違うアート性が発揮されるなら、それはむしろ素晴らしいことで、多才なデザイナーだと言えます。
やっと私が言いたかったことに近づいてきました。
「Aさんがやるデザインはいっつも同じような花柄だよね~」「Bくんのデザインはいっつもアニメ風だよね~」と陰口を言われるような独自性やアート性なら要らないのです。でも、ひとつひとつのデザインの狙い(コンセプト)に最適なら、見る人に新鮮な驚きや感動が与えられるアート性はあったほうがいいのです。しつこいようですが、デザインからアートを排除すべき、と言っているのではないのです。まず広告としての機能がそなわっているなら、さらにアート性を兼ね備えるチャレンジがあってもいいのです。
でも、学生さんや若いデザイナーさんにありがちな問題は、本来の狙い(コンセプト)を無視して、自分のアート表現をしたいということを優先してしまい、肝心の「機能面」が十分に出来ていないことです。
これを私は、有名な「マズローの欲求5段階説」のパロディで、デザオ作「広告に必要な機能5段階説」として説明しようと思います。
広告はもともと商品・サービス・方針などを宣伝する情報伝播活動です。伝えたい情報を文字間違いもなく誤解もなく消費者に伝えることが、最低限要求される広告の基本的な目的でありファンクション(機能)です。
ですから広告に求められる機能に優先順位をつければ、まず間違いなく伝えることであって、それさえ達成されるなら、極端に言えばデザインはダサくても問題ないのです。実際、今でも街中には死ぬほどダサーイ広告やチラシがあふれていますよね?でも、それは社会的に問題になったりしません。文字情報に間違いがないからです。
そのように考えた場合、このデザオオリジナルのピラミッドを見てもらえればわかるように、ピラミッドの下に行くほど、まずクリアしなければならない広告の最低条件だなーということがわかります。
最低限のルール
最低限のルールは、情報に間違いや混乱がない。(誤植・記載ミス・反社会性がない)ということです。たとえばコンサートのポスターで、日時が間違っていたら、どんなにアーティスティックな表現でカッコ良くても、斬新でも、広告としては当然ダメダメです。
最低限必要なコミュニケーション
最低限のルールをクリアしたら、その次に最低限必要なコミュニケーションをクリアすべきことです。それは、情報に過不足がない。(必要な情報が簡潔に記載されている)ということです。たとえば、ロックフェスのポスターに記載している会場がわかりにくいとか、逆に説明が多すぎてわかりにくいとか、書いてあるけど間違えそうになるとか、そのような広告は問題です。
効率的なコミュニケーション
それらをクリアしたら、次に目指すべきは、効率的なコミュニケーションをすることです。情報の伝達効率が良い。(レイアウトや色使いが見やすくわかりやすい)ということです。間違いない情報が記載してあったとしても、その文字の色、大きさの強弱、読者の目線を考えたレイアウトなど、スムーズに伝わるかどうかが大切です。
デザイン性
それらの基本的な機能がクリアされたら、求められるのはデザイン性です。効果的に狙った情報・印象を伝達する(流行性・心理効果も考慮したアピール力がある)ことです。これは単に効率的かどうかだけでなく、総合的な観点が必要です。インパクトがあるか、表現のセンス、時代性、季節感、ターゲットの心理を読んだ効果など、プロのデザイナーがプロとして認められるには、このレベルの機能がデザインに考慮されていることが必要です。
アート性
そしてそれらがすべてクリアされているなら、さらに求めてもいいのがアート性(芸術的な魅力がある)ということになります。デザイン性まではロジック(論理)で説明(プレゼンテーション)できたとしても、アート性は説明の難しい芸術的魅力です。制作者の個性的な表現の領域に足を踏み出すので、クライアントもその理屈を越えた魅力に納得・共感してくれないと実施がむずかしくなります。
おわかりいただけましたでしょうか?
「デザイナーがアーティストぶるな」というのは、言い方を変えると「アート性をプラスするのは、このピラミッドの下4段階(最低限のルールからデザイン性まで)の機能をちゃんと満たしてからにしてくれ。」ということなのです。
アートとデザインについて、当初予想に反して4回の長きに渡って書いちゃいました・・・。次回は、もっとコンパクトにしてみよっと!
いつもクリックありがとうございます!
↓FC2ブログランキング、にほんブログ村、人気ランキングに参加しました。
それぞれ1クリックしてくださるとデザオとっても嬉しいですオー!よろしくお願いします!


にほんブログ村

デザイン・アート ブログランキングへ
ですから広告に求められる機能に優先順位をつければ、まず間違いなく伝えることであって、それさえ達成されるなら、極端に言えばデザインはダサくても問題ないのです。実際、今でも街中には死ぬほどダサーイ広告やチラシがあふれていますよね?でも、それは社会的に問題になったりしません。文字情報に間違いがないからです。
そのように考えた場合、このデザオオリジナルのピラミッドを見てもらえればわかるように、ピラミッドの下に行くほど、まずクリアしなければならない広告の最低条件だなーということがわかります。
最低限のルール
最低限のルールは、情報に間違いや混乱がない。(誤植・記載ミス・反社会性がない)ということです。たとえばコンサートのポスターで、日時が間違っていたら、どんなにアーティスティックな表現でカッコ良くても、斬新でも、広告としては当然ダメダメです。
最低限必要なコミュニケーション
最低限のルールをクリアしたら、その次に最低限必要なコミュニケーションをクリアすべきことです。それは、情報に過不足がない。(必要な情報が簡潔に記載されている)ということです。たとえば、ロックフェスのポスターに記載している会場がわかりにくいとか、逆に説明が多すぎてわかりにくいとか、書いてあるけど間違えそうになるとか、そのような広告は問題です。
効率的なコミュニケーション
それらをクリアしたら、次に目指すべきは、効率的なコミュニケーションをすることです。情報の伝達効率が良い。(レイアウトや色使いが見やすくわかりやすい)ということです。間違いない情報が記載してあったとしても、その文字の色、大きさの強弱、読者の目線を考えたレイアウトなど、スムーズに伝わるかどうかが大切です。
デザイン性
それらの基本的な機能がクリアされたら、求められるのはデザイン性です。効果的に狙った情報・印象を伝達する(流行性・心理効果も考慮したアピール力がある)ことです。これは単に効率的かどうかだけでなく、総合的な観点が必要です。インパクトがあるか、表現のセンス、時代性、季節感、ターゲットの心理を読んだ効果など、プロのデザイナーがプロとして認められるには、このレベルの機能がデザインに考慮されていることが必要です。
アート性
そしてそれらがすべてクリアされているなら、さらに求めてもいいのがアート性(芸術的な魅力がある)ということになります。デザイン性まではロジック(論理)で説明(プレゼンテーション)できたとしても、アート性は説明の難しい芸術的魅力です。制作者の個性的な表現の領域に足を踏み出すので、クライアントもその理屈を越えた魅力に納得・共感してくれないと実施がむずかしくなります。
おわかりいただけましたでしょうか?
「デザイナーがアーティストぶるな」というのは、言い方を変えると「アート性をプラスするのは、このピラミッドの下4段階(最低限のルールからデザイン性まで)の機能をちゃんと満たしてからにしてくれ。」ということなのです。
アートとデザインについて、当初予想に反して4回の長きに渡って書いちゃいました・・・。次回は、もっとコンパクトにしてみよっと!
いつもクリックありがとうございます!
↓FC2ブログランキング、にほんブログ村、人気ランキングに参加しました。
それぞれ1クリックしてくださるとデザオとっても嬉しいですオー!よろしくお願いします!


にほんブログ村

デザイン・アート ブログランキングへ
スポンサーサイト
| 広告とデザイン業界 | 15:00 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑