「えー、そりゃあ可哀想だよー。これ、俺は面白いアイデアだと思うよ!それに大変じゃん、作るの。」という優しい人もいると思います。デザオもこれが学生さんの作品ならその制作努力をきっと称えるでしょう!しかし、デザオの評価は意外とキビシ~のです(笑)
実を言いますとね、私がこの広告で本当に問題視しているのは、「意外とよくあるアイデアですよ、これ。」ということではなく、少し横にズレたところにあるのです。
それは何かと言うと、伝えたい情報とビジュアルのミスマッチです。順を追って説明しましょう!まず、キャッチコピーは、
その一瞬に出会うために ルックJTBは挑戦し続けますです。どの一瞬のことでしょう?もしこんなキャッチコピーがくるのであれば、本当に息も止まるような美しい景色の写真が一枚あるほうがいいのではないですか?こんなギザギザガタガタな一瞬に出会いたいでしょうか?
好意的に解釈すれば、「ルックJTBはお客様に世界中の素晴らしい場所との出会い(一瞬)を提供するために、日夜(いい場所を集めて組み込んだ商品ができるよう)挑戦を続けています」ということになるでしょうか。確かにこう言えばプレゼンのロジックはできるかもしれませんが、この広告をパッと見た通行人にそれは複雑すぎて伝わらないでしょう。
また左上のロゴのショルダーコピーは、
満足が見える旅へ LOOK JTBとなっています。企業ロゴのショルダーコピーは、「入れとかないといけないコピー」と割りきられてその重要性が忘れられがちです。意外なほどに個々の広告アイデアと無関係に分離して考えられがちですが、消費者の目で見れば企業ロゴ周辺のコピーも、その広告で伝えている情報の一環です。このコラージュで出来たガタガタしたモン・サン・ミッシェルとマチュ・ピチュの絵柄が、「満足が見える旅へ」をサポートするでしょうか?ぜんぜんしていません。
絵柄部分の下に本当に伝えたい商品情報があります。
2015年4月からのルックJTB発表 [新シリーズ]世界の絶景 絶景ハイキング とあって2冊のパンフレットらしき画像があり、
他にも続々登場!
とあって、その他のパンフレットがズラッと並んでいます。
これらの商品の情報は、この広告のメインビジュアルに関係しないんでしょうか??新シリーズが、「世界の絶景」らしいのですが、パンフレットの表紙を見ると、イタリアのランペドゥーザ島と、どこかの山のようです。この広告のモン・サン・ミッシェルやマチュ・ピチュは関係無いようです。
ルックJTBの「世界の絶景」サイトを見てください(
→こちら)会社をあげての「世界の絶景プロジェクト」をやり、プレス発表までしてプッシュしているようです。サイトには、本当に驚くほどの「絶景」がたくさんとりあげられていて、わ~っ!行ってみたいー!!と思ってしまう写真が山盛りです。何で、すなおに、これらの「絶景写真」を1枚バーン!と使わないんでしょう??
これらの「絶景写真」が大きくレイアウトされていてこそ、
その一瞬に出会うために ルックJTBは挑戦し続けますというキャッチコピー、
満足が見える旅へというショルダーコピーが活きるのではないでしょうか?
もうひとつの側面で気になるのは、キャッチコピーのタイポグラフィです。
私が学生に「あんまりするなよ」と言っている、2行目をずらしたレイアウトです(^_^;) なおかつ、私が学生に「意味なくするなよ」と言っている斜体(文字を斜めに倒すタイポグラフィ)です。さらに、私が学生に「サムネイルの段階からわかっているんだから、こじつけでするなよ」と言っている、白抜き文字を何とか読めるようにするための苦し紛れのシャドウ文字です。
このプランに決定したら、フォトコラージュによって画面全体がゴチャゴチャするのは、サムネイルからわかっていることです。すると、キャッチコピーの文字を普通に乗せても読みにくくなってしまうのは自明の理です。ならば、帯やパターンでベタの部分を作るとか、絵柄をトリミングしておくとか、何か対策を講じておかねばなりません。
左上のルックJTBのロゴとその上のショルダーコピーも、ゴチャゴチャの背景の上では目立たないことはわかっていることです。最初から何か方法を考えておくべきことです。何と言っても、どこの旅行会社の広告か、というとても大切な情報ですもんね。
まとめというわけで、デザオが言いたいのはこの表現アイデアの鮮度どうこうよりも、何でこの商品をアピールする広告が、この表現アイデアなんだ??という点です。単に何か面白いことやってみるかみたいな大学生乗りを感じてならないのです。
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