映画ムーラン・ルージュで、石版印刷工場に「ムーラン・ルージュのラ・グーリュ」の原画を持ち込んだロートレックが、現場のおやっさんに「このグリーンはなんだ?石版にこんな色はない」と叱られるシーンがあります。
グリーンに見えても「ブルー、ピンク、黄色、グレー」いろんな色が混じっているから単純じゃないんだということです。ところが、それを聞いたロートレックは、「私がインクを混ぜよう」と言い出すのです。印刷現場に入り込み印刷工と一緒になって作業をする様子は、とても伯爵家の子息の発想・行動ではありません。
また、歯ブラシで塗料を飛ばして点描を試みるロートレックに、おやっさんがそんなの出来るわけないだろうとつっかかります。でも、やっているうちに乗ってきて、ロートレックと一緒に遅くまで新しい方法に取り組むのです。
この様子は、現代でもつい最近までグラフィックデザイナーと印刷の人のあいだで見られた光景です。こんなこと出来ないの?と無理をいうデザイナーに、印刷屋さんが何かと理由を言って嫌がるような光景です。でもやってみたらなんとなくできちゃう(笑)
絵師と彫師のように、デザイナーが印刷さんとあーだこーだ言いながら作る楽しさが、今感じられる仕事があるとすれば、それはむしろ効率重視の現代にあって、印刷上がりのアート性を追求できているいい仕事に違いありません。まして、WEBではなかなか見られないですもんねー。
恋愛中心のストーリーの中では、わずかな時間で過ぎ去るこのポスターの印刷工場のシーンですが、グラ雨読者の皆さんにとっては、石版印刷の様子が見られる基調な資料とも言えるかもしれません。
あんな風に印刷してるんだ―!と思えば、展覧会でロートレック作品を見た時の感慨もひとしおというものです(笑)
もうひとつデザイナーに通じる話として面白かったシーンは、ロートレックがこの原画を描き上げて、ムーラン・ルージュの店主に見せに行くシーンで、店主には気に入られず、踊り子たちにも不評で、ふんだりけったりで理解されないところが、これまたありそうな話で笑ってしまいました。
映画としては、どこまで史実にもとづいているか怪しいところもありましたが、当時の雰囲気を想像するには十分良く出来た映画だと思いましたよ。ただ、洋画にはよくあることですが、米英制作の映画なので、フランス語ではなく英語を話しているのがなんともう~んなんですけど、そこは仕方ない!
ジョージ・クルーニーのおじで、アラビアのロレンスではホモっけのあるトルコ軍司令官が印象深い、ホセ・フェラーがロートレックを演じています。うん、いい。
なんだか映画評ブログみたいになりそうなので、このへんにしときます・・・。
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