キャッチコピーに続いて、写真の左下に何やら丸いマークがあり、SWITCHの文字が。そして、その右横にリードコピー、「ワーク・ライフ・バランス 仕事と生活の調和のために、連続休暇にスイッチ。」と、あります。
この広告を出しているのは、ポスター最下部にロゴで記載のある厚生労働省、都道府県労働局、労働基準監督署です。じゃあ、きっと専用のサイトを作っているでしょう。ちょっとチェックしておきましょう!
ありました。トリミング(写真のカットの仕方)こそ横長になっていますが、やはり同じビジュアルですね。
ちょっと話が横道にそれますが、写真の色の話に触れたいと思います。このWEBを見ると、ポスターよりはだいぶ写真が明るくなっています。ポスターの女性より、服のピンク、バッグの黄色の鮮やかさが目立ちます。
これは単純に、デザイナーが、画像のRGBとCMYKの発色の違いをあまり意識していなかったんじゃないかなと想像します。あるいは発色の違いに気づいていても、それを少しでも印象を揃えるために統一しようとかいう繊細な気持ちがなかったのでしょう。
なぜそう言えるかというと、写真の中にレイアウトされている白抜き文字のデザイン処理が、WEBとポスターで違うからです。
WEBの方では、キャッチコピーの背景部分の紅葉がけっこう明るい色であることや、空の明るい抜け部分もあるので、白抜き文字が読みやすくなるように、文字の周りにシャドウのようなフチくくり処理がされています。
ところが印刷物であるポスターの方では、背景の木々と紅葉にある程度の濃さがあるからなのでしょう。わざわざフチくくりをしなくても、白抜き文字が読めるので、そのまま白抜きになっています。
普通のデザイナーなら、媒体サイズによるレイアウトの違いで、文字の読みやすさに違いがあっても、キャッチコピーのタイポグラフィをできるだけ統一して同じ印象にすることを重視します。
この例で、そのための一番簡単な方法は、WEBの画像でキャッチコピーの背景にくる部分の明るい紅葉を、フォトショップで少し濃くして、空の抜けも紅葉で埋めるような修正をして、ポスターと同じく、フチくくりをしなくても読めるようにすることです。
しかしそんなシンプルな対策がされずに、WEBの方のキャッチコピーだけはフチくくり文字になっていて、統一感がありません。キャッチコピーのタイポグラフィを揃えるという重要なことさえ軽視されていることから考えても、写真の多少の発色の違いなどは大きな問題ではないと判断したのでしょう。
さ、横道から本道に戻りましょう!
ホームページでは、PDF資料もダウンロードできるようで、冒頭の写メ以上にくっきりとわかりやすい画像が入手できました。これです。
どうですか?やっぱり何か暗いですよねぇ?伝えたいことは、いい仕事をするために、有給を取得して、自分の休暇が必要ですよ~、10月は特に取得を促進しましょーねー、というメッセージですよね!?
どうして、後ろ姿なんでしょう?
有給を取れと言いながら、実際には取るなよ、という体制側の後ろ向きの思いが表れているんでしょうか?それとも、この忙しいのに有給なんて取る奴は、仕事を同僚に押し付けて、寂しくひとりで山に逃げていくような奴だ!という悪意の印象付けでしょうか?(笑)
さらに、どうして、独りなんでしょう?
普通、家族、友人、恋人などと楽しそうにハイキングを楽しんでいる笑顔いっぱいの写真にしませんか??笑顔でなくても、少なくともここは、爽やかそうな、晴れ晴れと気分転換出来てる表情がいるところでしょ?
それを表情を見せないように、けっこう本格的な背の高い登山用リュックサックで、顔だけでなくヘアスタイルも全て隠し、まるで人物の年齢、性別、人柄を一切隠したかったかのごとき構図です。
ホームページでは悪意としか思えない首のところでのトリミング(!)、ポスターではどう考えても不自然なリュックサックの一番上の部分でのトリミング!
その目的は一切不明ですが、何か非常にお役所的な事情でこうなっているような気がします。何か理由があるにせよ、結果的に人物の隠匿性が、何か後ろ暗いものを感じさせ、内緒で何かしているんじゃないか?という推測をさせてしまいます。
それがさきほど言ったように、ひとりで悩み苦しんで自殺しようとしてるんじゃないか?あるいは、サスペンスドラマよろしく、犯人が遺体を山中に隠している!というような、ネガティブなイメージを与えてしまうのです。
ところが、キャッチコピーは「いい仕事を生むためには、自分休暇が必要でした。」なので、さすがにそこまでひどいストーリーとは結びつかないまでも、何か仕事のストレスに疲れきって心の病にでもなってしまい、やっと自分には休暇が必要だったんだと気づいたというような、切実な印象を与えてしまうのです。
「いい仕事を生むためには」という言い方にもすでに、休暇の過ごし方の成否も、すべていい仕事をするためだというエリート官僚の強迫観念が表れているようです(^_^;)
まとめ結論的には、イメージ写真も、キャッチコピーも、もっと普通に明るく出来へんかったんかい!?と言いたいですねー。この広告に限ったことではないのですが、「普通にする」ということが意外と難しいんだということを、つくづく思います。
あなたなら、有給取得推進月間のポスターをデザインしろと言われて、普通にできますか?凝りすぎて、奇妙な誤解を与えるデザインにしてしまうんじゃないですか?(笑)
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