「パッと見たとき」という言い方を、関西のひとはよく使うんです。千原ジュニアもよく言ってますよね(笑)最初の一瞥のことですけど、デザオも授業で良く言っちゃうんですよ。「パッと見たとき」に、それが伝わるとか伝わらないとか、「パッと見たとき」の印象がそうではなかったとか・・・。
それを使って、同じデザイナー側の視点でこの車内吊りポスターを「パッと見たとき」の印象は「抜け目ないな」です。抜け目なく、ツッコミを入れにくいバランスのとれた良いデザインになっています。もちろん、これは制作側に立った印象で、もちろんお客側ではありませんよ。
キーカラーがグリーンどう抜け目ないかというと、まずキーカラーがグリーンです。グリーンは東急ハンズのコーポレートカラーです。こういうときには、厳密に東急ハンズのロゴの色とまったく同じでなくても良いのです。印象がハンズっぽいグリーンであればよいのです。
またこのグリーンが抹茶っぽい色にも見えるグリーンを使っています。この抹茶色は「和風」「京都」を連想させます。ほかにも藍染めの藍色や茶、紫、黒でも和風にできますが、その数少ない和風にしやすい色です。
モチーフが暖簾(のれん)と家紋ここで画面全体に使われているモチーフが暖簾と家紋です。暖簾と家紋の組み合わせは、伊右衛門のラベルでもお馴染みの鉄板の和風モチーフですよね。大丸、松坂屋、髙島屋も江戸時代から続く家紋型の商標を持っていますよね。つまり「和風の伝統」や「京都」を強く伝えるモチーフなのです。
家紋にハンズの「手」で楽しい印象に家紋には普通社名の最初の一文字などが象徴的に使われることが多いのですが、ここでは「東」や「ハ」などとせずに、ロゴマークの一部である「手」のマークを入れています。これにより、ハンズであることが一目瞭然になるとともに、あり得ないカジュアルさが楽しい印象にしてくれます。
キャッチコピーがさらっとしている「つぎの歴史は、その手がつくる。」というキャッチコピーは、少し堅苦しいです。また、キャッチー(人の心をつかむ)ではありません。しかし、意味はよく練られていると思います。
「つぎの歴史は」は、京都の「新しい時代は」「これからは」という意味で、「その手がつくる」はハンズの元々のコンセプトであるDIY(Do It Yourself)マインドを言うとともに、メインビジュアルの手の説明にもなっています。
しかし、ここで評価したいのは、キャッチコピーの入れ方(レイアウト)です。
あくまでメインビジュアルの暖簾と「手」の家紋を使うというアイデア勝負のデザインなので、それを邪魔しないようなさらっとしたキャッチコピーの大きさと入り方に好感が持てます。もし、このキャッチコピーがもっとデカデカとレイアウトされていたらビジュアルとぶつかってビジュアルのインパクトを弱める結果になっただろうことは容易に想像できます。
ストアコンセプトからも遠くないプレスリリースにある東急ハンズ京都店のストアコンセプトの説明は下記のようになっています。
京都店は「くらしの作法」をコンセプトに、生活における「モノ・コト」について、新しきコトばかりではなく、古きよき習慣も融合させながら「くらし」とつきあう方法を各フロアにて提案していきます。まぁ、とは言ってもいつものハンズでしょ?という気もしないでもないですが、一応、京都店独自の商品展開でこういうコンセプトを反映していくのでしょう。この文章の中の「古き良き習慣も融合させながら」の部分に、暖簾と家紋を使う根拠が見いだせます。大事なことです(笑)
ディテールにも細かい配慮が。学生さんのために、細かい点にも触れておくと、暖簾のグリーンに濃淡があり、立体感を出す生地のドレープ感や、中央がほんのり明るくなっていることで家紋が目立つようになっていることもポイントです。
また、暖簾をモチーフにすることで、薄っぺらくならないように、隙間から見える遠景にも工夫があります。写真のボケ足のような奥行きをつけていることはもちろん、色をブラウン系とイエロー系にすることで、和風建築の室内のように見せています。
というわけで、いろんな意味で「抜け目のない」しっかりしたデザインだなーと分析しましたー!どんな広告にも文句ばっかり言ってるんじゃないんですよー(^_^;)という今日のブログでしたねー。
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