デザインにアドバイスをもらうとき、デザインにアドバイスするときは、基本情報を共有する。あなたがADになり、部下や同僚のデザインチェックをするとき、消費者の視点でチェックしたいなら、説明を一切聞かないほうがいい場合もあります。しかしそれは特殊なケースで、やはり、あまりに情報が不足しては的確なアドバイスができません。
たとえば、この太田さんのライブのフライヤーの場合なら、バンドの名前は?そのバンド名どういう意味?どんなタイプの音楽?彼らの音楽の何が凄いの?会場は?今回のライブのテーマとか切り口は何?などという、基本的な情報があります。
そして媒体の基本情報もあります。そのフライヤーのサイズは?何枚印刷されてどういう風に使われるのか?(つまりどうやって人の手に渡るのか)両面カラーなのか?紙質をえらべるのか?
それを踏まえて、デザイン上の話になります。コンセプト(狙い)は何か?今回のライブで一番アピールすべきことは?いつもと違うことは?バンドメンバーのこのフライヤーのデザインに対する要望は?掲載すべき情報は?
太田さんの場合なら、「ここが良くないと思うけど、どうしていいかわからない」という自分が困っているポイントを伝えることも、もちろん大事なポイントです。ただ漫然と「見てください」というより、「こうしたい、自己解決を目指したんだけど出来なかった」というところまで詰めてからたずねることが成長の秘訣ですよね。
もしあなたが新人デザイナーで、先輩や上司にデザインのアドバイスを求めるなら、まずこれらの基本情報を相手に理解してもらわないといけません。
職場では、普通、仕事を上司から振られるので、それをチェックしてもらうときに説明は不要です。しかし、上司がよく知らない仕事をやっていて、それについてアドバイスを求めるなら、一から説明する必要があります。もっとも良い方法は、それらの情報を箇条書きにしたプリントを一枚用意して、説明するとよりわかりやすくなります。
学校の休憩時間などに、授業の課題以外のプライベートでのデザイン作品を持ってきて「せんせーい、これ◯◯なんですけど、アドバイスもらえますか?」と言う学生さんには、気軽にたずねてしまったことを少し後悔するかもしれません(笑)なぜなら、私から上記のようないろいろな質問攻撃を受けて、あたふたするからです。
「コンセプト:なし」!?なんだって~!?太田さんにも、「これらの基本情報の説明を一緒に添えてくれないとちゃんとアドバイスできません、マナー違反ですよ」と伝えました。すると、比較的すぐに説明を送ってきました。それが以下の内容です。
サイズ:A4
片面フルカラー
コンセプト:なし
情報:バンド名
スケジュール
HPとqrコード
official mail:-------------------------
1st Single『------------』NOW ON SALE (曲名記載無し)
2014.xx.xx(○)------------ 主催LIVE ------------「タイトル」
白い四角:大きい方→CDジャケット
小さい方→qrコード
一番重要な情報:主催
以上です!よろしくお願いします。
そ、素っ気ない・・・。デザオがさっき力説してきた、共有すべき基本情報が、えらく淡白&コンパクトにまとめられてしまいました。ま、まぁ、情報の薄さはいいでしょう!(^_^;) 急いでいるそうですし、20歳と若いですから今回は目をつぶりましょう!
しか~し!一瞬、目を疑う一行が!
コンセプト:なし
コンセプトがなし~~!?(笑)ガーン・・・。ショックです・・・。ヒロシです・・・(←死語?)
1年間こんこんとコンセプトの重要性を説きながら授業をやってきて、卒業後にこんな仕打ちを受けるなんてー(T_T)
コンセプトは狙いです(
この記事参照)。そのデザインで、どんな情報を伝えるか、どんな印象を伝えるか、どんな反応を引き出したいか、の狙いです。別に難しい言葉をひねくりまわさなくても、せめてキーワードでもいいから今回のデザインの方向性を決めるコンセプトがないと、デザインがそのコンセプトを達成できるかどうかチェックできません。
もしコンセプトを知らずにチェックするとしたら、本当に表面的な、文字組がきれいじゃないとか、色の組み合わせがよろしくないとか、内容がわかりにくいとか、その程度のチェックしか出来ません。(ええ、内心彼女はその程度のチェックを求めていたのかもしれませんが)
「一体、彼女は学校で何を勉強してきたんだ!?」私は多少の怒りを演出して、メールに下のように書いて返信しました。
まずコンセプトなしって!学校で何を学んで来たんですか!なしって!コンセプトなしなら、このままでOKですよ。何も狙ってないんですからね。ダサくても、変でも、構わないっていうのが、コンセプトなしです。
ちょっと厳しいかな?と思いつつ、待っていると、しばらくして返信がきました。
そこには完全に授業を思い出したとわかるいろんな気付きが彼女の言葉で書いてありました。良かった、理解してなかったわけじゃあないんだ。時間がないからついつい全部すっ飛ばして作業としてのレイアウトだけすすめた、何も考えず適当にデザインして、バンドのメンバーに対しても失礼だった、という反省の言葉もありました。
そしてある意味予想どおりの言葉が書いてありました。
私の勝手なシンプルにかっこよく出来たらいいなという思い込みで作ってしまいました。
そうです。先週、今週とシリーズでやってきた【曖昧さと戦え!】とも関係する問題「シンプルでかっこよく」です。つまり、彼女の中では「コンセプトなし」ではないのです。「ダサくてもむちゃくちゃでも何でもいい」と思ってやっていません。「シンプルでかっこよく」したいという思いはあったのです。
彼女の素直な性格がわかります。考えても見てください。普通ちょっと気を回せば「先生にアドバイス求めたら逆にコンセプトをきかれちゃった!実はあんまり考えてなかったけど、それらしいこと書かなくちゃ怒られちゃう!」と考えて、後付けのコンセプトを書きそうなものです。それを意に介せず堂々と「コンセプト:なし」と書けるのは、心底、コンセプトを重視していなかったのでしょう(笑)西城秀樹ばりの正直者です。
しかしデザインの方向性を決めるコンセプトとしては「シンプルでかっこよく」は曖昧過ぎるのです。「シンプルで」以外にも「複雑でかっこよく」もあり得ますが、複雑にするには時間がかかります。彼女の焦ったメール文面から、複雑なデザインにチャレンジする余裕がないのはすぐわかります。
また「かっこよく」は曖昧な言葉で、人それぞれの思う「かっこよさ」が違いすぎます。また、ビジュアル系バンドのフライヤーで「かっこよく」は、あまりに当たり前すぎます。ついつい一度「複雑でカッコ悪い」をコンセプトにデザインできるかということに挑戦したくなるくらいですよ(笑)
コンセプト(コンセプトキーワード)が曖昧だと、デザインが曖昧になる。その結果、どうなるかというとデザインも曖昧になり、無味乾燥、個性のないデザインになります。フッツーのデザインになります。フーツラボールドです。フツオです。長江健次です。
そうならないためには、コンセプト(言葉)の段階で、曖昧さに気をつけて、ちょっと個性的なキーワードを入れておくことです。たとえば・・・
「シンプルでロマンチックな」←ロマンチックな、とするだけでデザイン上の工夫がいろいろ必要になります。
「ゴシックロリータで」←これだけでかなりデザインの方向性が絞られます。
「ドラキュラを彷彿とさせる」←めっちゃわかりやすいですよね!
もう少し具体的なら何でもいれていいのか?いいんです!カビラです!でも、やっぱりそこは、バンド名とか、テーマとか、曲とかの基本情報があるわけですから、それを取材確認すれば、無理にひねり出すことはなく、おのずと導き出せるはずですよね!そのための基本情報です。
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