コンセプトは、<モノを作る前に決めた「狙い」を言葉や文章にしたもの>です。
あえて、<言葉や文章にしたもの>としていますが、これは書き留めておかないと忘れがちになるための予防策で、本来は「狙い」そのもののことで、頭に簡潔にビシッと入っていて、いつでも説明できるならそれでもいいんです。
コンセプトは狙いです。デザインがぜんぶ済んで、もっともらしい狙いを後から考えるなんておかしい話はありません。ゴルゴ13のデューク東郷がマフィアのボスを暗殺したあとに、「なんで奴を殺したのか、説明するために考えてみよう。」なんて言ってたら怖すぎますもんね!え?たとえがおかしい?
もし学生さんがデザイン作品を作る前に(ここでは実際の仕事ではないのであえて作品と呼びましょう)、そのデザインで、何を伝えて(情報)、どんな感じにして(印象)、見た人にどうして欲しいのか(どんな反応を引き出したいのか)など、何も考えずに作っているとしたら、私はむしろ不思議です。何を指針にそれを作ってるの?と思います。自分の好みでしょうか?
だからこそ、デザインに取り掛かる前に、コンセプトは書いておくべきなのです。
例を出しましょう。たとえば、ある缶コーヒーが新発売になるのでその広告を依頼されたとしましょう。メーカーさんいわく、その缶コーヒーは女性向けに作られた実験的な商品で、期間限定、かつ東京都でしか発売されないそうです。
この段階で、メーカーさんにすでにコンセプト(狙い)があることがわかります。なぜこの缶コーヒーを開発して発売するのかの理由であり狙いです。商品企画コンセプトと呼んでもいいでしょう。
これの雑誌広告を依頼されたデザイナーは、その狙いに沿って、広告の基本的なコンセプトを考え、打合せである程度合意しておくことが必要になります。たとえば、下のような内容です。
●伝えるべき情報・・・女性のための缶コーヒーが発売されること。期間限定で◯月◯日~◯月◯日。東京都内でしか発売されないこと。(本当はどのように女性のためになっているのかというより具体的な情報が必要ですがここでは省略します)
●伝えるべき印象・・・(例)女性に好感を持たれる優しく可愛い印象にする
●引き出したい反応・・・その期間を狙って、多くの女性がこの缶コーヒーを購入してみようと思い、実際そうする。これはおそらくメーカーの狙いに合致していますから、そう問題なく合意してくれるでしょう。
さぁ、ここからです。ここから、デザイナーの腕が試されます。写真がいいかな、イラストにしてみよっかな、どんなタイポグラフィ(文字のデザインやレイアウトのこと)がいいかな、タレントさんを使う必要があるかななど、制作予算とスケジュールに応じていろんなデザイン案を考えます。
肝心なことは、どんなプランになるにせよ、当初合意したコンセプトから脱線しないようにすることです。
デザイナー:ボクはドラゴンボールが好きなので、ヤムチャに缶コーヒーを持たせて・・・クライアント:いやいや、君が好きだからって何だよ!会社にも、ターゲットである女性消費者にも関係ないじゃないか。デザイナー:東京都でしか買えないことをあえて言わずに、消費者が店でお買い求めしたところをがっかりさせて、希少価値を高めるようにしむけて・・・クライアント:おいおい、苦情殺到だよ!クレイマー、クレイマーだよ。あえて言わずにの意味がわからん。デザイナー:昔、としまえんの「史上最低の遊園地」っていう自虐ネタの広告があったんですよ。それが出来たんですから、「男性のための缶コーヒー!」って男臭い印象の広告にして、でもよーく読むと、「なーんだ、女性向けの缶コーヒーだったのかぁ」って気づくような案もいいですよね。ネ、面白いでしょ?クライアント:おもろあるか!( *`ω´)このように脱線してはいけません(笑)
百歩譲って脱線した案を提案したいときは、せめて脱線していない案と両方ださないとクライアントは納得できませんよね。
コンセプトは、デザイン案(例の場合なら缶コーヒーの広告表現)がどうあれ、これだけはきちんと守ってくれという方向性を規定します。それをデザインを考える前に決めておくからこそ、ありとあらゆるプランを何百案と考え無くても済むわけです。
でも、媒体や内容によって、コンセプトがどの程度の言葉で規定しておくべきかは変わります。アイデアを萎縮させないために、意図的に最初はキーワードくらいにとどめておいて、プランを絞り込む過程で、コンセプトを詳しく拡張していくことも可能です。
いずれにせよ、自分の好きに作品を作ってから、プレゼンのときに、「どうしてこんな作品にしたのかもっともらしくこじつけなくっちゃ」みたいな発想ではいけませんよね(^-^)
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